女性は結婚に対して特別強い気持ちを抱いている人が多い。独身時代に感じていた孤独感からの解放や、愛する人を正式に独り占めできることは何よりの安心感であり幸せなのだろう。
実際私の周りでもそういう女性が多く、中には幸せすぎて某ネズミの国のプリンセスばりに変貌している人もいた。今にも小鳥と喋りだすのでは、といった感じだ。そしてだいたいプロポーズされる前から11月22日いい夫婦の日に役所に行くと決めている。
もう少し堅苦しくなければいいのに。思い出すのは大学時代の彼
一方私はというと、自分が某ネズミの国のプリンセス風になっていることも、11月22日に役所に行くことも想像がつかない。私は周りの子たちに比べると結婚に対しての熱はそんなにないように感じる。むしろ結婚という行為に圧迫感や束縛感を感じる。結婚とは契約のようなもので、その中にはルールがあり、禁止事項も多い。夫婦の役割が比較的平等になってきている現代でも、まだそう感じる場面は多い。私の価値観が結婚や夫婦というものにおいて制限をかけてしまっているのかもしれないが、結婚というものがもう少し堅苦しくなければいいのに、と思うことがある。
そこで思い出すのが、大学時代のことだ。飲みの場で、一夫多妻制について語っている男の子がいた。彼はどちらかというと真面目な交際をするのではなく、いろんな人と楽しんでいるタイプだった。そんな自由なところはあるが、たまにそれっぽいことをイキり顔で語ること以外、特に悪い男の子というわけではなかった。その飲み会で彼は、「俺は絶対日本も一夫多妻制にすべきだと思う」と言っていた。冗談で言っているというよりは本心のようだった。
責任は持ったうえで、いろんな選択肢があることは大いに賛成
なぜ彼はそう主張したのかというと、彼はきっと世間一般の結婚観の中では自分の居場所がなく、マイノリティでやっていくには心細くて面倒だから、世の常識が自分の生き方に寄って来れば自分は生きやすくなると思ったのだろう。日本の将来のため!というような彼の主張であったが、ようは一夫多妻制という言葉を用いて、自分はオフィシャルでいろんな人とセックスがしたい、ということだ。そしてそういう世界があわよくば来ないかと夢見ていたのだった。当時の私は、「それだけの家族を自分の収入で養わなきゃいけないとか考えているのか?」と、たばこを吸いながら半開きの目でそれを語る大学生の彼に対して思った。また、結婚に対しての熱は低いものの、そのように現実的なことを思った私の脳はしっかり女なんだ、ということを実感した。大学を卒業してから彼には会っていないが、きっと彼は今頃、男性ホルモンで頭がハゲているだろう。
彼の主張に対して、割と現実的なことを思った私だが、一夫多妻制という考えには賛同できた。責任は持ったうえでそのような選択肢があることは大いに賛成だ。経済面や倫理観の問題はあると思うが、独身者が増え、少子化や人口減少が問題になっている現代で、それだけ子孫を残したいという気持ちのある人はある意味貴重な存在かもしれない。
一夫多妻制で妻同士が協力できれば、育児で孤立する母親も減るのでは
また一夫多妻制でなくても、最近は経済力のある女性も多いので、一妻多夫制なんかもありではないか。はたまたLGBTの人たちの結婚も認められないだろうかと思う。自分の行動に責任を持てない人は論外だが、それだけの財力や気概のある人ならいくつか選択の自由があってもよさそうだ。たとえば一夫多妻制の場合、妻同士が協力できれば、世間では核家族が増えている一方で横のつながりができ、育児で孤立してしまう母親も減るのではないかと思った。女の世界、そんなきれいにうまくはいかないだろう、とも思うが、それが可能であったら楽しそうだな、なんて思う。今までのように結婚とはそんな気楽なものではなく、神聖で堅苦しいものだ。と思う人はそれを選択すればいいし、そろそろみんながみんなそれに合わせて同じ動きをしなくてもいいのではなかろうか。
結婚に対してこんな風に考えている私は完全に晩婚だろう。そしてこの主張を話したなら、某ネズミの国のプリンセスたちから袋叩きにされそうで怖い。大学時代の彼はそんな主張を堂々としていたのかと思うと、今となってはその勇気と若さをたたえたい。その恩賞に、彼がまだハゲてしまっていないことを祈ろう。