お互い結婚に同意し、互いの両親とも仲が良く、結婚の妨げになるものはなんにもなかった。
なのに、丸8年かかった。
もうすぐプロポーズするね、と面と向かって3年間言われ続けたわたしのように、もう結婚できるはずなのになぜかなかなかそのときが来ない、気丈なふりしてどこかで不安を感じている人へ、何の役にも立たないアドバイスを。
わたしと彼が出会ったのは、18歳。専門学校の同期だった。
入学から2ヶ月もしないうちに交際が始まった。
学生の時点で「早く一緒に住みたいね」「卒業したら結婚しようね」とことあるごとに話していたが、なかなかそれが実行されることはなかった。
大前提として、ふたりとも極度の面倒くさがりなのである。
そのうちにわたしは学校を辞めフリーターになった。
彼も学生時代のバイトを続け一時期わたしたちは互いにフリーターだった。
休みを合わせて週に1回会うのがお決まりだった。
その後彼は就職。週1で会うペースは変わらず、お互い落ち着き次第にその頻度が心地よくなっていく。
そのまま、気付けば25歳を過ぎた。
同棲すらしていなかった。お互い実家暮らしのまま。
交際から丸7年と5か月。他力本願な同棲をスタート
そろそろ一緒に住みたいね。
その言葉を何度聞いただろうか。
「今日じゃなくてもいい」という時間の縛りのないものがわたしも彼もことごとく苦手である。
結局、事が動いたのは2019年の頭。交際から6年半。
彼の大叔母が癌に侵されたとき、大叔母は自身が所有し住んでいたマンションを「あなたたちが住みなさい」
と、わたしたちに託してくれた。
その年のGW、大叔母は息を引き取った。
2019年10月に同棲が始まった。交際から丸7年と5ヶ月。
結局他力本願だった。自分たちではなんにもしていない。
おばちゃん、本当にありがとう。
よく、同棲すると結婚が遅れる、と聞く。
完全にそれを危惧していた。
だって大人なのに同棲のひとつもまともにできなかったわたしたちだ。
けれど実際は実にあっさりしたものだった。
『人生はタイミング』とはよく言ったもので、すべてがタイミングだった。
「おれも指輪欲しくなってきた」急展開で事が運んだ
同棲を始めた1ヶ月後。
新居に、友人から結婚式の招待状が届いた。
結婚式に参列したことのない彼は、わたしに届いた招待状をまじまじ見ていた。
その翌日。
専門時代の同期で現在も親交がある友人がSNSに婚約指輪と結婚指輪を買ってもらった、と投稿していた。
もちろん彼もよく知る友人なので、さっそく報告をした。
それはわたしにとっては世間話のひとつだったのだが。
それを見た彼は「へー!」とリアクションを取ってひとしきり投稿を見たあと、
『…なんかおれも指輪欲しくなってきた』
そのとき、嘘みたいに流れたゼ○シィのCMが忘れられない。
すぐにPCを起動して結婚指輪について検索し、
『今週末行ってみようか』
そうして週末に訪れた煌びやかなブライダルリング専門店で、1軒目にして運命の出会いを果たし、お互いこれ以外考えられない、とその場で購入を決めた。
結婚の話など出ていなかったのに、結婚式の招待状が届いた日からたった4日で、わたしたちは指輪を購入した。
指輪を無事に受け取り、交際丸8年の記念日にわたしたちは夫婦になった。
周りから心配されるほど歩みの遅かったわたしたちは、あれよあれよという間に入籍した。
わたしの場合はすべてタイミングだった。
結局無理に動こうとしても関係が軋むし、タイミングが合わないと重い腰をあげるのは難しい。
なかなか進まない関係にひっそりもやっとしてるあなたも、なにかのタイミングで爆進するかもね。そうだといいね。
ね?何の役にも立たなかったでしょう?