自分のためだけにはもう頑張れない。だから結婚したい。私の今の正直な気持ちだ。
急に出社できなくなった。当たり前のことができない。人生に絶望した
私はもともと結婚したくなかった。毎晩始まる両親の大喧嘩、嫁姑問題、家の後継問題など幼い頃から聞かされていた。一番の問題は人のことを好きになれず、恋人が出来てもいつも長続きしないことだった。他人と何十年も一緒に生きていく想像ができないし、一人でも生きていけると思っていた。だから、結婚に対する周囲の圧力も、友達が結婚したいというのにも全く共感できなかった。どんな人が好きか聞かれても、いつも適当に優しい人と言っていた。全く結婚したくなかった。
その私が、今、結婚したいと思うようになった。きっかけは、昨年休職をしたことだ。コロナが広まり、テレワークが浸透してきた頃、私は急に出社できなくなった。仕事を辞めるのか、復職するのか、いつ復職できるのか、コロナの中で新しい仕事が見つかるのか。家賃はいつまで払えるか、実家に帰るか。そして、どうして自分は当たり前のことができないのだろうと人生に絶望していた。「今は考えすぎないで休むことが必要だ」と病院の先生に言われたけれど、そんなことできるわけがなかった。寝る前、「このまま朝目が覚めませんように」と何度も思った。いろんな方法で何度か生きるのをやめようとした。でも、なぜかこの世の中に生まれてしまった以上、簡単にこの世界から逃げることは許されていないようだった。
退社を決意。無条件に他人から自分の存在を認めたられたと思った
こうなることが分かっていたのか、私には世界でいちばん優しい恋人がいる。仕事には行かず、ずっと家に引きこもっていて、何もする気力のなかった毎日だった。自分だけ仕事をしていないことへの罪悪感が強く、毎日消えてしまいたいと思っていた。でも家事だけはできた。自分のためにはできないが、好きな人のために掃除をして、洗濯をして、料理をする事はできた。「洗濯ありがとう」と言ってくれて、「ごはんおいしい」と言っておかわりしてくれる。それだけで、生きていていいと言われている気がした。今の私は退社を決意し、自分が出来る範囲でやりたい仕事をしていこうと思っている。
仕事が出来るとか出来ないとか、収入とか、成績とか、今まで自分が縛られていたもの、そういうものに関係なく無条件に他人から自分の存在を認めたられた、受け入れてくれたと思った。
問題や心配は山積み。でもいざ結婚したら何とかなる、何とかしていく
今、私は結婚したいと思うようになった。もう自分のためだけには頑張れないと思ったからだ。今、こんな私を受け入れてくれて、突き放さないでいてくれたことを私は一生忘れないと思うし、もし恋人に何かあった時には何でもしたいと思う。
一緒にもっと広い家に住みたい、世の中が平和になったら一緒に世界中旅行したい。そのために。自分ペースででももう一度仕事をがんばろうと思う。
よく、「一人でも生きていけると思ったから結婚した」という人もいる。それはなんとなく理解出来るし、尊敬する。
でも私はもう自分のためだけには頑張れないと思ってしまった。だから結婚したい。どちらも正解だと思う。お金の問題とか、家の後継者問題とか、いつまで一緒にいられるのかとか、問題や心配は今でも山積みだ。
でも、いざ結婚してみたら何とかなるんじゃないか。なるというより、何とかしていくしかないと思う。冷静に、まったくの他人同士が出会って、お互いを受け入れて、相手のことを想い合えるってすごいと思う。これから、喧嘩してもう一緒に居たくないと思う時もあるだろう。でももともと他人同士で、自分とは違う人間だということを忘れずに、一緒に生きていきたいと思っている。