「いつかお姫様になって、舞踏会でドレスを着て王子様と踊るの」。お伽話は幼かった私たちに、そんな夢を見させてくれた。でも、現実って結婚どころか恋愛もうまくいかない。
大学一年生の春に初めて彼ができた。何度も喧嘩して別れを考えることもあったけれど、気付けば3年が過ぎていた。「結婚したいから、これからのことを2人で考えたいのに。」別れるきっかけの喧嘩で、彼に言われた言葉だ。
結婚を考えていたのに、結局お互い自分のことしか考えられなかった
季節は夏、私は大切な試験の直前。彼は、内定を貰い舞い上がっていた。確か、遠距離したくないのなら彼の内定を蹴る、と言われた気がする。そのとき思った。「貴方の決断に、私を巻き込まないで。」だって、私は私、貴方は貴方でしょ。それに、私のことが本当に大事なら、試験直前に相談してくる?
私は、冷静になるために距離を置こうと提案した。すると彼はこう言った。
「そんなこと言うなら、来週の花火大会は行かないからな。後から頼んできても無理やで。」
あれ、この人さっきまで私と結婚したいって言ってたよね。私の中で、ぷつっと何かが切れた気がした。結局、忙しい時にお互い自分のことしか考えられなかった。私から別れを告げた。
御伽噺のように結婚ってそんなに華やかなものではないと気がづいた
学生だった私には、結婚という二文字は重すぎた。結婚を理由に彼の人生を妥協して欲しくないし、逆も同じだった。
ふと、お伽話が頭を過った。憧れていたお姫さまも、王家に嫁いだら厳しい花嫁修行や規則のもと生きていくんだ。結婚って、そんなに華やかなものではない。恋愛も。私は、お姫さまに同情した。
社会人になりまた結婚に夢を見ている
社会人一年目、休日は寝込むほどきつかった。通勤時間は何度も意識が飛んでいた。そんな状況で、SNSのフォトウェディングアカウントに癒された。新しい彼もでき、ドレスを着て彼と写真を撮るのが夢で仕事をしていた。
あれ、私また夢見てるじゃん。
働いてみると、仕事だけで毎日が過ぎていく。彼とのこれからを考えることは、忙しい中での支えになっている。好きな人の前で綺麗なドレスを着たいから、結婚もいいかもと考えている。お姫さまも、結婚後の自分の行く末なんかどうでもよくって、ただ、大好きな王子様の前で綺麗でいたかったからドレスを着ていたのだろう。
結婚に対するイメージが少し軽くなった。今の私は、お姫さまを夢見たあの頃の私と同じだ。結婚もお伽話も同じ、私たちに夢を見させてくれる。
私の新しい挑戦を応援してくれるパートナー
私は早期に転職をした。転職を機に、田舎から上京した。人生は一度きり、一番若い今を大都会で過ごしてみたかった。
転職が決まったとき、「東京に行くね。」と彼に告げた。彼は「東京に遊びに行けるの、すごい楽しみだな。」と笑って答えた。この返事は、私が持っていない考え方だった。遠距離を前向きに捉えて、2人の人生の一部として楽しむ。彼となら、遠距離でもやっていけると思った。
私たちの結婚は、今のところ5年後だ。彼はこの春から社会人で、5年後に勤務地を選ぶことができる。仕事が安定してから私と結婚したいと言ってくれた。
私たちには、結婚前にやりたいことがたくさんある。二人とも旅行が好きで、コロナが収束したらアメリカに行きたい。ヨーロッパの小さな街でクリスマスを過ごしたい。
私としても、恋人の期間をもっと楽しみたいし脱毛・矯正・ホワイト二ング等、お金の力で綺麗になっているはず。笑 私の人生は自由奔放で、大抵のことは自分で決めてきた。そんな中で、好きなものや物事の優先順位が同じ彼に出会えて感謝している。
最近妹と話していて発見したことだけど、お姫さまは十代が多い。それに比べて私はあと5年も結婚を夢見ることができるなんて幸せだ。大学時代の先輩曰く、女性は25歳あたりで結婚に対する焦りを覚えるそうだ。でも、周りや世の中がどうであろうと、焦らない。
私は、これからも私の人生に妥協せず、彼と共に生きていきたい。