「なんだか、働きづらいなあ」
俗にいう「古い日本の大企業」で働いている私の、正直な感想である。

私は「大企業」であり、「女性に優しい企業」として認知されている企業で働いている。基本的に残業は少なく、産休・育休を始めとする各種制度が整っている。
おそらく、一般的な日本の企業よりかは「女性に優しい」企業だと思う。

なのに、なぜ働きづらいと感じるのだろうか。

女性には、研修に行かせるお金は出せないのだろうか

新型コロナウイルスが流行る前、公的資格が貰える1日の講習を見つけた。当時やっていた仕事にとても密接に関わりのある資格だったので、係長に行きたいと申し出てみた。
係長は許してはくれなかった。理由は教えてくれなかった。直属の私の男性の先輩は過去にその講習に行っていた。

また違う日、やっていた仕事にまた関わりの深いセミナーがあり、男性の先輩と行く予定であった。
係長は私だけ行かせてくれなかった。理由は教えてくれなかった。
そのセミナーは、とても実りのあるものだったと、先輩は教えてくれた。

さらに違う日、係長は何かの展示会に出張として足を運んでいた。男性の先輩を連れていた。
私も行きたいと言ってみたのだが、却下された。理由は教えてくれなかった。

周りの同期や同僚を見ても、研修や出張に行っているのは明らかに男性で、女性は男性ほどその機会が与えられていないようだった。
育休や産休でブランクが出来るから、子育てが原因で会社を辞めるリスクがあるから、そもそも女性にはそこまでのキャリアが必要ではないから、女性には会社からそこまでのお金を出せないということなのだろうか。

なぜ女性だけ、育児を理由に様々な制限をかけられるのか

思い返してみれば、おかしいと思うことはいっぱいあった。
毎年労働組合から産休・育休・介護制度の認知度を図る「女性組合員アンケート」なるものが女性社員だけに配られていること。(男性は会社の産休・育休・介護制度について知らなくてもいいのだろうか)

女性社員は男性管理職の容姿の好みによって配属が決まる場合も多いこと。(若くて可愛い女性社員はなおさらである)

男性と女性で研修費や出張費にかけられるお金が違うこと(一般職やエリア総合職ではなく、男性と同じ働き方をする全国型総合職で入社したのに同じ待遇ではないなんて、不満しかない)。

どこが、「女性に優しい企業」なのか。
私は学生時代から運動部と勉強の両立に苦しみながら自己研鑽し、留学に行って多様性に触れ、入社後も自発的にプライベートの時間を割いて社外のセミナーや資格取得に励んでいる。
同じ会社に勤めている同年代の男性と同じかそれ以上に結果を出し、頑張っているつもりだ。
なのになぜ、会社は男性と同等に私を扱ってくれないのだろう。なぜ、女性というだけで育児を理由に頼んでもいないのに様々な制限をかけられ、男性というだけで優位な立場に立てるのだろう。

今こそ、真の「女性活躍推進」とは何かを考えるとき

日本で女性の置かれた立場というのは、フェアじゃない100m走のようなものだ。
男性はスタート地点から質の良いスパイクで走り出すが、女性は20m後ろからただの運動靴で走っているようなもの。
男性と同じ立場や賃金を得ようとすれば、女性は男性よりも数倍努力しなければならないし、置かれた立場によっては諦めざるを得ない場合もある。

日本はこれから超少子高齢化社会に突入し、ますます女性が働き続ける事が日本社会にとって重要になっていくだろう。
ここまで女性活躍が上手くいかなかった原因の一つは、「女性に育児と家事を押し付け、男性と同様の働き方が許されてこなかった」からだと私は思う。

もし私が総理大臣なら、ジェンダー学を義務教育から必修科目にして日本で女性が置かれている不条理な状況を国民に学ばせ、男女両方が育休を取れる制度を義務化し、就職した女性に研修費を国から補助金として出すだろう。

やみくもに女性を採用して管理職に登用することや、ましてや必要以上に若い女性を持ち上げてちやほやすることが「女性活躍推進」ではない。
女性を社会に出させやすい雰囲気(ジェンダー教育)を作り、女性を採用してから同じ額の教育費(補助金)をかけて育成し、子供を産み育てることが女性にとって足かせにならない制度(産休やマムバック制度のさらなる充実化・男性の育児休暇の義務化)を推進し、同じ基準で昇格させていくことが真の「女性活躍推進」である。

Global Gender Gap Report 2020 によると、日本のジェンダーギャップは153か国中121位である。首相が変わり、これからこの順位がどのように変動するのか。日本の将来に期待したい。