私を変えたひとこと、それはポップコーン屋さんの言葉でした。
当時、高校生だった私は自宅から約2時間かけて通学していました。
バスと電車と地下鉄と無人運転の電車と沢山乗り換えが必要でした。
下校時に最後の乗り換えの少し大きな駅で香ばしくて甘い美味しそうな良い香りに誘われて立ち止まってしまったポップコーン屋さん。ほんのり香ばしい甘い香りは1番人気のキャラメルポップコーンのものでした。
いつも利用する駅の見慣れないお店は移動式のポップコーン専門店でした。
落ち込んでいたわけでもないのに、カードの言葉が胸に響いた
都会慣れしていない私にとってポップコーン専門店というのも初めてでしたが、キャラメルの香りがとっても美味しそうで帰ったら家族も一緒に食べるかなと思い、看板メニューのキャラメルポップコーンを一袋購入しました。
ポップコーンの袋には小さいカードがついていて、可愛らしい金髪の女の子のイラストとメッセージが書かれていました。
「今日だけ
今日だけ・・生きてみよう
だって、明日が人生最高の日だったらもったいない。」
このメッセージを見た時、なんだかこの言葉がひどく胸に響いて暫くこのカードから目が離せませんでした。
当時は別に落ち込んでいた訳でも悩んでいた訳でもありませんでした。
でも、この言葉はいつの間にか私の中で宝物になっていて、いざという時に寄り添ってくれる存在となっていました。
「今日だけ生きる」ことで新社会人の日々を乗り越えられた
辛い時も壁にぶつかることも生きていればいつか起こります。「まぁ、上手くいかない時もそりゃあるよね」って考えれる時もあります。
ただ、必死にやってみたけど出来なくて。
やること為すこと全くダメで全てが運に見放された時、もうどうしようもなくなってしまって努力するのも疲れた時、生きるのをやめたくなってしまった時に「今日だけ、今日だけ生きてみよう」「もしかしたら今日が人生最高の日になるかもしれない」と奮い立たせるためにこの言葉を思い出すようになりました。
特に就職して1年目の時に一人暮らしを始めて、仕事も家事も全部やらなきゃダメで。仕事なんて覚えようと必死になるけど全然思うようにできなくて。先輩に注意されて追い込まれていて…毎朝会社に行くのが嫌で泣いていた時は支えられました。
今日だけ生きる、をすると1日だけ乗り越えることができて少しほっとできたのです。
10年経っても、あのお店のキャラメルポップコーンは私の生きた証の味
「ああ、今日1日生きれたな。明日も生きてみようかな。」
今日を生きている間に少し前向きになれたりもして、生きることに少しだけ欲張りになれるのです。
お陰でこの言葉に出会って、今日だけ生きるを繰り返して10年間生きて続けてこれました。
移動式のお店なのでなかなか会えない時もありますが、今でも見かけると必ずキャラメルポップコーンを買っています。
キャラメル味はだいたいがしっかり甘いのですが時々少し苦いところもあって、たまにキャラメルがかかってなくて薄い味もあって。
それがクセになってついつい欲張って食べてしまう。なんだかムラがあって少し欲張りになって味わってしまうところは私の人生に似ている気がします。
このお店のキャラメルポップコーンは私の1日1日の生きた証の味なのです。