私は、謝りたい人がたくさんいる。謝らなければならない人がたくさんいる。
両親。妹。祖父母。親戚。幼稚園の友達。小学校の友達。中学校の友達。先輩。後輩。高校の友達。先生。大学の友達。バイト先の人。元カレ。今の彼氏。

11年経った今でも、踏み台にしているあなたたちへ。ごめんなさい

とにかくたくさんいる。思い出せば出すほどつらい思い出と自己嫌悪がみるみる湧きあがってきて、髪の毛をかきむしりたくなる。叫びたくなる。
つい最近まで、私はいつも人目を伺う軸のない人間で、自分がいつも間違えていると思い込んでいるタイプだった。

何かあった時全て自分のせいだと思って生きてきた。
今思えば私の言動の方が正しかったこともあるかもしれない。
でも当時のことは、当時の私が考え、行動し、感じたことです。
自分の気持ちも含め、過去として、事実として、トラウマとして、受け止めます。
だから自分の過去や感情を客観視しないようにしてきた。

“オトナになって色んな経験したことを踏まえると、私の方が正しかった”、って相手のせいにしてしまいそう。
だから、今でも当時の気持ちで生きている私には、謝りたい人がたくさんいる。

その中でも私の中で強烈にコンプレックスになっている三人に謝りたい。
ごめんなさい。
私、あなたたちのこと、11年経った今でも、踏み台にしています。
成人式でも見かけなかったし、中学の卒業式で見かけた記憶もないから、私の中のあなたたちは、今でも6年生です。

ごめんなさい。
あなたたちの交換ノートを見てしまいました。
いつもあなたたち3人が私の方を見ながら、私の視線から過度に守ってたあの白くて分厚いノート、放課後にこっそり読んでしまいました。

ごめんなさい。
勝手に読んじゃいけなかったね。特に私は。
だから、あの日以来は読んでません。
1度だけです。

ごめんなさい。
数ページに渡って書かれていた内容、私のことなのにあんまり覚えていません。
“私はれてぃの○○なとこが苦手…”、“あ~確かに××なとこもあるよね”、“俺も苦手だよアイツ”、“だよね~ぽっちゃりしてるしね”、“わかる~!(笑)”、“早く卒業したいけど、AちゃんとBくんと離れるのは嫌だなー。”、“俺ら中学でも仲良くしような!”。

ごめんなさい。
翌日から、あなたたちにもっと付きまとってしまいました。
不安でした。もしかしたらノートの内容は嘘だったのかもしれない、読み間違いだったのかもしれない、って確証を得たかったんです。
また好きになってもらわなきゃ、って必死になりました。

“苦手”、“嫌い”、ってもう言われないように、頑張りました

あなたたちは、最後はバラバラになりましたね。
AちゃんがBくんの親友と付き合い始めて、別の三人組を結成しましたね。Cちゃんはひとりぼっちになって、また私と仲良くし始めました。
ごめんなさい。
それ以来、あの白いノートの頻度が減って、卒業式の1か月前には最後には見なくなったこと、ちょっと、喜んでしまいました。

ごめんなさい。
私、あの後とっても幸せになりました。
“苦手”、“嫌い”、ってもう言われないように、頑張りました。

あなたたちのおかげで、人を嫌わないようになりました。
みんないいところがあって、みんな誰かの家族で、誰かの孫で、誰かの友達で、誰かのパートナーで、誰かの生徒で、みんな一人一人が大切な
存在なんだ、って思えています。
だからあのノートを見てから11年、誰のことも嫌わず、そして馬が合わなそうな相手には付きまとわないようにしました。

リバウンドしたけど、ぽっちゃりしてるって書かれたから、シンデレラ体重まで体重を落としました。
モテる努力をしました。
垢抜ける努力をしました。

みんなにも、変わったね、って言ってもらえるくらいには頑張りました。
バイト先のお客さんにも可愛がられるようになったし、彼氏もいます。
私のことを可愛がってくれて、好いてくれるひと、何人もいます。
あなたたちより頭良くなろうと思って、大学受験を頑張りました。

受験きつかったけど、自分の大学を誇りに思っています。
英語ペラペラになって海外経験を積めば、きっとあなたたちに勝てると思って、シャイだったけど英語頑張って、ビビりだったけど色んな国に行きました。

あなたたちを私の中に留めて忘れず踏み台にして、楽しい生活と沢山の友達を作る努力をしました。中学、高校、大学、バイト、インターン、ボランティア、海外、色んな所で素敵な出会いと経験に恵まれました。そんな中で自分の得手不得手、チャームポイント、個性がわかって、価値観が合う相思相愛の人たちに囲まれながら自分磨きをしています。

私にも、幸せになって誰かに好きになってもらう権利があったみたい。
幸せになってしまって、なんだか…ごめんなさい。

ごめんなさい。
あなたたちが同窓会に現れなかったとき、軍配が上がったと思ってしまいました。
中学校の同窓会はさ、行きたいと思えるから、そして一緒に行ける友達がいるから、行くものですよね?

大学生の二人はバイトもしているだろうし、社会人のあなたはお金はあるはず。
あなたたちのお家がお金持ちなのは知っています。もしアルバイトしていなかったとしても、お金はお家から借りられるでしょ。
それに、あなたたちの高校3つとも日程がかぶってなかったのも知ってます。
それなのに、どうして来なかったの?
一緒に行く子はいましたか。

そういえば、中学入っても仲良くするんでしたよね?
3人で、12歳にして私についてしっかり価値観の共有をしていたじゃない。
3人で中学でも仲良くしていましたか。
成長した自分で、他のみんなとも再会したいって思えていましたか。
私はね、中学校で出来た友達と、カラコンとピンヒールと大好きな色のパーティードレスで行ったよ。美容体重でね。

私の高校の時のかわいい部活、聞きたい?
文化祭や体育祭で、高校の友達と楽しんだ奇抜な髪の毛やメイクの写真、見る?
あ、私の大学とバイト先、とってもハイブランド感あるんだけど、ついでに聞いとく?
あ、私、彼氏っていう守ってくれる存在がいるからさ、そんなにビビらないで、もう1回私のこと書いていいよ。
ねえねえ、11年後の私を見て。今でも、同じこと、書ける?

ばいばい。あなたたちとあの白いノートは、私から追い出します

ごめんなさい。本当にごめんなさい。
まだ心の闇の中に、11年前のあなたたちを生かしているのです。
とても恵まれたハッピーな私の人生の負の遺産は、あなたたちなのです。
私はその遺産を破壊するために頑張ってきました。
情けないな、私。今でも他人軸だ。

もうあれから11年も経つんですね。
そろそろ、私もあなたたちを解放する時なのかもしれません。
私の中のあなたたちをマウントとって見下して、自分で自分の性格を悪くしているね。
情けないな、私。

でも、もしあなたたちが同窓会に現れても、私、きっと話をしに行けません。視線すら合わせられないと思います。
情けないな、私。弱くてずるいね。

だから、あなたたちを直視できない私は、あなたたちを私の中に留めておくべきではないみたいです。

この場を借りて、ひとこと言わせてください。

あんなこと書かないでよ!

確かに見ちゃった私も悪いけど、急に仲間外れにしてこそこそノート回すなんて、悔しいよ!ずるいよ!
でも、あなたたちの感情や行動は私が決めることじゃないもんね!
一人ぼっちになる勇気がなくて、嫌われている事実を受け入れられなくて、迷惑かけてごめんなさいでした!

ひとことじゃすみませんでした。

ごめんなさい。
これをもちまして、あなたたちとあの白いノートは、私から追い出します。

もうきっと会うことのない、11年前のあなたたち、そして、私へ。
ごめんね。ばいばい。