みなさんは香水、好きですか?そして、自分の好きな香りを、誰かに説明できますか?香りって、結構、難しくないですか……?

香りは加減が難しい。用語も難しい。マナーも相性も難しい

香水の付けすぎはきっと良くないんだと思う。それは香りに詳しくない私にもわかる。かといって、数分で消えてしまうフレグランスは儚すぎる。香りは加減が難しい。

さらに、香りの好みは、言葉にしづらい。実態がないという事に加えて、そもそも私の場合はカテゴリ?システム?を把握できていない。たとえば「フローラル」と言っても、それは何の花の匂い?って話だし、トップ、ミドル、ベース……?専門用語が多すぎて、初心者にとってはなんのこっちゃである。だからこそ、香水専門店には入りづらいというか、敷居が高く感じてしまう。店員さんに話しかけられるのが怖い。下手をすると、百貨店でコスメを選ぶ以上に高いハードルかもしれない(それも経験ないけど)。香りは用語が難しい。

また香りは、ファッションやメイクと同様に、TPOもあったりする。無臭を求められるシーンもあるし、フワッと香れば好印象を残せる場合もある。更に加えて言うと、香りは好みが千差万別なので、ある人にとっては満点花丸の香りが、別の人にとってはマイナスの印象になってしまったりもする。香りはマナーも、相性も、難しい。

とにかく香りは難しすぎる。しかし、香りが人に与える効果が、魔法の如く絶大なのも、恐らく間違いない。その効能を使いこなせたら、かなりかっこいい。綺麗な人とすれ違ったとき。大好きな人と抱き合ったとき。フワッといい香りがしたら、それだけで忘れられない思い出になったりするんやで…?香り、ええやん…?「香水の似合う女」、ええやん……??(うっとり)。

そして香りは、自分自身に対する効果も大きい。「私の香り」を決めたり、気分や時間によって使い分けたり。誰しもがテンションの上がらない、今年の冬。お出かけも自由にできない今だからこそ、おうちで香りを楽しめる生活を送れたら、暮らしが豊かになりそうな気がしませんか。なんだか部屋も片付けたくなったりして。料理も手の込んだものを作りたくなったりして。

「自分の好きな香り」について、考えるべきだ。よし、さっそく

私がそんなに単純な脳みそを飼っているなら、それはもう、今すぐに。「自分の好きな香り」について、考えるべきではないだろうか。よし、さっそく考えよう。

香水に関する知識がほぼ無い私が、確か去年?出会ったお気に入りのブランドがあって、それは「クヴォン・デ・ミニム」である。美容誌の付録にハンドクリームが付いているのを見かけたのがきっかけだった。

私はちょうど香水を探していた旦那のために、そのブランドの「シンギュラー・オーデパルファム」というシリーズのミニサイズの香水5本セットを購入した。なんとなくユニセックスな感じの香りが多かったので、玄関において、旦那とシェアした。

このシリーズは有名な調香師さんが監修されていて、素材も地球に優しいヴィーガン。また、私が「とっつきやすい」と感じたのは、それぞれの香りが動物をイメージして調香されているという点だ。「今日はオオカミで行こうかな」みたいなやり取りが毎朝夫婦の間に生まれて、面白かった。

私が5本の中で一番気に入った香りが、『サイガ』という「アンテロープ」(鹿のような角を持つサバンナの動物)をイメージして調香された1本。気に入って結構使っていたものの、今に至るまで、香りの成分は一切見てこなかった。では早速(今更)、初めて確認してみます。私が好きなこの香りが、一体何から抽出された香りなのかを……

「クヴォン・デ・ミニム」のサイトを見てみる。『サイガ』の中心となる香りは「センチフォリアローズ」つまり薔薇と、「ブラックカラントの蕾」つまりフルーツの花のつぼみ。いわゆるフルーティフローラルに属する香りだそうだ。

あ、ブラックカラント、聞いたことある。私は高校生の頃、ソニプラでブラックカラントのグミを買って、ダドリー坊やの如くバクバクと食べていた。いかにもな蛍光ミドリの派手なパッケージに入った、ベリーっぽい、甘酸っぱい味のやつ。あぁ、あれか!急に親近感。

センチフォリアローズは聞いたことがない薔薇の品種。へぇ、南フランスの薔薇で、貴重なものだそうだ。陽の光を浴びる前の早朝、伝統的な手法で収穫されるらしい。

ベースノートの欄には、「シダーウッド」と書かれている。ウッド…木の匂いって、また難しいやつや……調べてみると、シダーウッドは男性にも好まれる香りで、気持ちを安定させる効能もあるんだとか。ほほう、使っている時は感じなかった。ウッド系の香りが含まれているから、旦那も好きな香りだと言っていたのかもしれない、なるほど。

運命の1本に違いない。好きだったものに根拠が付いて、結構スッキリ

軽~く調べた結果、私は高校の頃に好きだったブラックカラントを、知らず知らずの内に引き寄せていたという事が分かった。……海外製のグミ……ダドリー坊や……。なんか、思ってたんと違う。私が勝手にイメージしていた「香水の似合う女」とは、まるで異なる人物像が浮かび上がってきてしまった。……摩訶不思議現象。

……まあでもきっと、この香水は「こんな」私にとって、運命の1本なのだと思う。いやむしろ、そうに違いない。これまでフワッと好きだったものに根拠が付いて、結構スッキリしたりもした。納得である。

『サイガ』は本当に気に入っているし、香り自体の雰囲気も私のお茶目な所に合っている気がする(どポジティブ)。私がどんなエピソードを語ろうと、この香水が良い香りであることに、変わりはないのだ。また今度、大きなサイズの物を買いに行こっと(あと、ソニプラへグミも探しに行こっと)。

「シンギュラー・オーデパルファム」には、他にも4種類の動物をイメージした香りがある。私が「アンテロープ」以外に気に入ったのは、パチュリとトンカバニラの香る「雌ライオン」のものと、レッドペッパーコーンとアンバーウッドの香る「雌オオカミ」のもの。

恐らく私は、メインがフルーツやバニラなどの甘い香りで、そこに少しさっぱりとしたウッド系や癖のあるグリーンの香りが加えられたフレグランスが好きなんだと思う。ぜひ機会があれば、どれもみなさんにも嗅いでみてほしい。

また、大切な人といくつかの香りをシェアして、感想を言い合うのも楽しかったのでオススメ。私が今他に気になっているお店は、色んな芸能人やYouTuberに紹介されて話題の「イソップ」。また今度、旦那と2人で行ってみようと思う。ドキドキ。

※追記で悲報。ブラックカラントのグミは、数年前に終売したそうです。再販売されるまで、香水の匂いを嗅いで待つ……