今日も私は何でもない顔をして、パソコンに向かう。本当はもう使い古した雑巾よりもボロボロで、気が抜ければ涙がぽろぽろ落ちてきてしまう。
それでも、何でもないような顔をして、私は私らしさを消さないようにもがいている。
女の子らしい見た目はいつも敵を作る。
色が白くて丸顔で、若い女が笑う。ここでは、それは「媚びを売った」ということになるらしい。まだ大した言葉も発していないのに、私は会社の別館にある倉庫で2時間のお説教を受けることになった。
もちろん相手は女性である。
私の勤める会社では、良くも悪くも、女性という言葉がたくさん使われている
私の勤めている会社は、昔ながらで朝の当番は女性だけに任される。お茶の準備や会議室の掃除、ホワイトボードの記入、新聞の整理…誰にでもできることだけど、女性の仕事とされている。容易に想像できるかもしれないが、もちろん男性は私達を女性として扱う。良くも悪くも、女性という言葉がたくさん使われている。
女性なんだから、重たいものは運ばなくていいよ。
女性は甘い物が好きでしょう?たくさん食べてね。
女性が入れたお茶はやっぱり美味しいね。
そのスーツ、女性らしいラインが出て素敵だね。
彼らは優しさとして、褒め言葉として「女性」を使う。別にそれが悪いわけではないけど、分かって欲しい。
私は実は力持ちで、自分で運んだ方が気を遣わなくて済むからそうしたい。
甘い物は好きだけど、たくさん食べると胃がもたれてしんどい。
お茶を入れるのは得意じゃないし、仕事を中断しなければいけないから自分でやってほしい。
好きなスーツを着てるけど、身体のラインやスカートの丈について触れられるのは少し気持ち悪い。
求められない発言をした時、私は全身で感じている。「女のくせに」
女なんだからお酌をしろとか、大人しく従順じゃなければいけないとか。黙ってにこにこしている子が一番可愛いのだと。そんなのいつの時代の話?なんて思われるかもしれないけれど、そう言う人はまだ本当にたくさんいる。セクハラなんて当たり前みたいに身近に転がっている。
女の子らしい見た目によって、私にかかる「女性」の言葉は多い。だけど、本当は別に大人しくもないし、パステルカラーが好きなわけでもない。
求められない発言をした時、私は全身で感じている。
「女のくせに」
男性は私に女であることを求める。
それ以上に辛いのは、女性が私に女らしくありながら、男に好かれる女になるなと求めることだ。
女性は一歩下がって、男性の言うことを聞いていたらいい。だけど、媚びを売って男性に好かれることは決して許さない。
私は私が見せたい人にだけ、大切な人にだけ、私の女らしさを知って欲しい
声を大にして言いたい。
私を見た目で判断するな。決めつけるな。
あなたにとって、私がか弱く、目を潤ませて女であることを武器に仕事をしているように見えたとしても。
あなたにとって、その笑い声が媚びでしかなく、耳を煩わせているとしても。
私は私のまま生きている。一生懸命に自分の仕事をしているのだ。仕事をしに会社に来ているのだ。
私は決して職場で「女の子らしく」いたいと思わない。どうせならバリバリ仕事をしたい。
私は私が見せたい人にだけ、大切な人にだけ、私の女らしさを知って欲しい。可愛いねと褒められたい。それは本当に数少ない大切な人に限られる。
この見た目のせいで、男の人に消耗され、女の人に疎まれる。けれど私は負けたくない。
私は私を殺さずに、誰よりも自分を誇らしく思いながら過ごしたい。
自分だけは、私のこの白い肌も大きな瞳も柔らかな身体も、細くて高い声も、負けず嫌いも気弱なところも、全部全部。
女らしい女、なんて軽い言葉で私を括るな。