新社会人一年目。働く、稼ぐ、人間関係、そんな社会の大変さをまじまじと感じていたわたし。特に女性社会の中で働いているわたしは、女性独特な荒波に飲まれていた。
少し落ち着いてきた春に彼と出会った。彼は3つ年上で、わたしのそんな悩みをじっと聞いてくれた。考えを否定することもなく、受け止めた上で的確なアドバイスをくれる彼に、大人な考えを持つ人だと魅力を感じた。
出会ってからは、自然な流れで毎週末一緒に遊ぶ予定を立てていた。
デートを重ねる関係だけど決定打の言葉はなく、半年が過ぎた
初回のデートはドライブデート。初回にしてはなかなかハードルが高いデートを選択したものだと今になって思う。
それからは、わたしが行きたい!と言う場所に車を出して連れて行ってくれた。
何回か遊ぶ内に、お家デートもするようになり、泊まることも多々あった。
でも、手を出される事は一切なく、それもまたわたしの中では紳士な方だとプラスポイントになっていった。
しかし・・・。何回遊んでも、何ヶ月と月日が経っても、彼から「付き合おう。」その言葉は出てこなかった。
遊ばれているのかもしれない、そんな気持ちが募る一方、手は出してこない上、週末はわたしに時間を割いてくれている。
彼にとって、わたしはどういう存在なのだろうか。
「付き合おう。」その言葉がないまま半年が過ぎた。
ただ彼のステータスとしてわたしを隣に置いときたいだけなのかも、もしかしたら本命は他にいるのかも、こんなにも一緒にいて連絡も取り合っているのだから「付き合っている」ものだと彼は思っているのかも。
色んな想いが交錯し合った。
どちらにせよ、もう・・・決着を付けたい。
悪い方に転がり、会えなくなったとしても。
次に進むには聞くしかなかった。
「私たちの関係って何?」
彼は困惑か、都合の悪い部分を遂に突かれてしまっような気まずい表情をみせた。
「俺の事好きなんでしょ?じゃ付き合う?」
交際スタートしたのに、何かと理由をつけられ会えない日々が続く
この言葉から交際が始まった。
この時点で気付くべきだった。だけど、半年かかってやっと漕ぎ着けた
「彼氏」という関係に思考がストップし、わたしは自分にとって良い面だけを見ていた。
付き合ってから、週末に遊ぼうとしても彼が忙しくて会えない。そんな日々が続いた。
付き合う前はかなり無理して遊んでくれていたんだな・・・。
なんか嬉しい、なんて楽観的な事ばかり考えていた。
たぶん、どうにか会えない寂しさを正当化していたのだろう。
彼が出張に行く先で私もタイミング良く出先が重なる事があった。
付き合ってからやっと会える!素直に嬉しかった。
「今のところ、夕方から会えるよ」
その言葉が欲しかった。やっと会える。
しかし、その日が迫ってきて
「会えそう?予定に変わりない?」
その連絡を送って、3日が経った。
「ごめん。夕方会うの無理になった。次の日なら会えるけどもう帰ってるよね。」
事実上会えない宣告
「私も次の日まだ出先にいる!だから大丈夫!会えるよ!」
少し淡い期待を持って、わたしは鎌をかけた。
ただ、本当に会いたい。その気持ちが彼にあるのかを知りたかった。
「間違えた。出張が短くなって、1日目に帰る事になった。だからやっぱり会うのは厳しそう」
そうわたしは告げられた。
苦し紛れの嘘に、どれほど私に会いたくないのかと、笑えてきた。
出張先では友人と会う予定があるとか、取引先との会食があるとか、ただただ体力的に疲れるから休みたいとか、本当の理由があるならそう言って欲しかった。
プチンっと目をそらしていた部分があふれ、別れを決意
プチンッと一気に溢れ出てくる悪い部分。今まで見てこなかった、目を逸らしていた部分を鮮明に見つめた。
私は決めた。付き合って、1ヶ月。1度も会わずに彼と別れた。
「終わりにしよう。」
私はそれだけ伝えた。もう話すことすらなかった。
自分勝手だと思ったけど、どう思われたって良い。
彼はすんなり受け止め、分かったという言葉と共に、最後の最後まで良い人であろうとした。
「俺が時間作ってあげられなくて、寂しい思いをさせてしまってごめん。
○○は何も悪くない。全部俺のせいだ。」
長文が綴られて返事が来た。
まだ、俺のことが好きなあなたへ。そんな文章だった。
私は心の底から確信した。お別れして良かった。
もう全然好きじゃないあなたへ。
これが私の付き合うまでが長く、付き合ってから光の速度で別れを告げたそんなお話。