「目指すな、玉の輿!」
高校時代の古典の先生が言った言葉。授業の何の流れで言った言葉だったか全く覚えていないが、年配の小柄な彼女から力強く放たれたこの言葉を今も鮮明に覚えています。
仕事や働くことについて考えたとき時、特に彼女が言ったあの言葉すっと頭に浮かびます。

小さい頃、私は漠然と「強い女性」になりたかった。アニメや、漫画・小説に出てくるような強い女性が好きでした。聡明で、男性にも毅然と渡り合える女性にぼんやりと憧れを抱いていた幼少期。
「目指すな、玉の輿!」という言葉を思い出すと、経済的にも、精神的にも自立した「強い女性になれ」と言われている気がします。

流れに任せた選択で就職を決めた

学生時代、私は英語教師になるため、教育実習にも行き、教員免許までとりました。
だけど、「将来の夢」とかきらきらした希望に満ち溢れたうえでの選択ではなく、学生時代から英語が得意で、教員は公務員で安定しているから、という何とも乾いた理由からでした。

結局今は全く関係ないコンサルティング業界で働いています。今の会社も強い志望動機があって入社したわけではなく、就活中のキャリアフォーラムで偶然受けたコンサルティング会社の人の考え方が面白いと思えたし、共感したこと、そして早めに内定をもらえたから、「じゃあ、それで。」みたいな流れに任せた選択でした。
今度の春で親切で入った今の会社で4年目になります。入ってくる人も多ければ、辞める人も多い今の会社で、強い志望動機もなく、業界の知識もなかった私がなぜ3年間も働けているのかは自分でもふと疑問に思います。

今の仕事が嫌いなわけではないけど、上の人たちの働き方を見ていると、今後の自分に結婚や出産といったライブイベントが訪れることがあったとき、続けていく自信もなく、一生の仕事として続けたいとは思いません。
自分のスキルアップのために仕事に関わる勉強は進んでやっていこうと思うけど、将来的にキャリアアップをして管理職になりたいかと言われたらそうでもない…。
仕事が楽しいかと問われると、体力的にも精神的にもしんどい時は当然あるから、全面肯定はできないけれど、かといって嫌いではないし…。

「こういう大人になりたい」と思う人に出会えた

明確な今の仕事を続ける理由はないけれど、一緒に働く人にはかなり恵まれていた方だと思います。
もちろんいい人ばかりではないし、合わない人はいたけれど、これからも一緒に働いていたいと思えた人に出会えたことはかなり私の中で大きかったと思います。
仕事へのアプローチの仕方、論理的で効率的な考え方や働き方は単純にいちコンサルとして仕事を続けて行くうえで、そうなりたいと思います。

しかし、それだけでなく、それぞれのスキルやキャリア、家庭環境を考慮したタスクの振り方、スタッフへかける言葉から感じられる気遣いをできることが、「こういう大人になりたい」と思わされました。

学生時代から一人でやった方が早いと考えたり、頼まれた方が嫌な思いをするのではないかと思い周囲へ何か頼むことが凄く苦手でした。周囲からは責任感が強いと映ったのかもしれないけれど、ただ独り善がりで周囲のためには何一つプラスにはなっていませんでした。
ぼんやりと抱いていた理想の「強い女性」像と一致して、今も心のどこかに引っかかり、「もう少し働いてみよう」という一歩を生み出しています。