「愛してる」なんて簡単に言えない。原因は元彼の別れの言葉

恋愛というのは、「気持ちを伝えたから」「頑張って思い続けたから」といって
必ず相手が応えてくれる保証はない。

わたしは付き合っていても「好き」や「愛してる」という言葉を軽率に返すことができなかった。
目の前にいる彼が、こんなにも私を愛してくれているのに、同じ量の愛情を返せない自分に罪悪感でいっぱいだったのだ。

その原因は元彼にフラれたトラウマから来ている。
昨日のデートで元彼から手を繋いでくれたのに、次の日電話で「~のことは好きだし、欠点なんて1つもないし、女性としてとても魅力的だと思ってる。でも別れたい。友達に戻ろう」。

呪縛のような言葉だった。

私は耐えられずに言い返す。
「何それ…。本気で好きなのに、友達に戻れるわけないでしょ? あなたが他の女性と仲良くしてるのを笑顔で祝えるほどお人好しじゃないよ」

好きな人ができたんだとか、こういうところが嫌いだったとか、そう言ってくれればどれだけ楽だろう。わりきれただろう。
なのに「好きだけど別れよう」って矛盾してるじゃないか。

どうしても理由を聞きたくて「ほかに好きな人でもできたの?」って聞いた。
返ってきたのは「ううん、違うよ」。

「そっか。今まで本当に楽しかった!ありがとう、元気でね。」
「~も。元気で…。」
最後まで涙をこらえて明るくしてた声が伝染したのか、淡々と話していたあなたの声が大きく震えて、泣いているように聞こえた。

ああ、この別れが辛いのは少なくとも私だけじゃないのかな。
そんな安堵が伴った後に飛び込んできたのは、次の日に新しい彼女ができたという事実だった。
私はこの失恋で人を心から信じたり、本音を言う事ができなくなってしまったのだ。

傷ついた心を癒してくれた次の彼

別れて3ヶ月が過ぎた頃、友達だと思っていた人に告白をされた。
彼のことをそこまで深くは知らなかったけど、「もう一度信じられるようになりたい」という軽い気持ちで始まった恋だった。

付き合って1ヶ月。
会うたびに溢れるほどの愛情を注いでくれるような人だった。
それに応えられない自分に耐えられなくて、幸せを感じるほど怖くなって、「ごめん、わたしまだ元彼が忘れられなくて、このままの気持ちで付き合うのは辛いし申し訳ないから別れて欲しい」と、車の中で泣きながら別れを切り出した。
すると彼は「それでもいい。俺がその辛さを少しでも笑顔に変えられるようにするから
そのままでいい。だからもう少し付き合ってみてくれないかな?」。

本当に、愛情深い人だった。次第に、彼を心から愛せるようになっていった。
結婚のことも考えることが増え、彼は収入が安定した所に転職し、お互いの職場の中間地点で同棲がすんなりと決まった。

彼への愛情が全て嘘だったわけではないけれど、うまくいかなかった

でも、幸せというのはやはり「どちらか一人」が頑張って続くものではなかった。
同棲をして、今までは「いい面」ばかりお互いが見せていたけれど、「悪い面」と向き合うことになるのだ。

同棲しはじめは本当に毎日が幸せだった。
どんなに面倒な家事も楽しく思えたし、多少の辛いことも笑顔で乗り過ごすようになった。
そんな私を、彼は無意識に卑下することが増えていった。

彼はきっと、自分に自信がなかったのだと思う。
本音を言える友達がいなくて、いつも友達の悪口を言っていた。
没頭する趣味もなかった。
だから何も言い返さず受け止めてくれる私に、自分の抱えるストレスを発散するようになっていってしまったのだ。

今振り返ると、「自分本位」という言葉がしっくりくる人だったと思う。

同じような内容で喧嘩を繰り返し、何十回もの「ごめん」を
私は許し続けることはできなかった。
彼とはどう向きあってもわかり合えなくて別れてしまったけれど、私は決して「彼の愛情が全て嘘だった」とは思えない。

例えば、誕生日プレゼントにネックレスと一人暮らしの家の合鍵をくれたり、入院したときに毎週お見舞いにきて着替えを洗濯しに持って帰ってくれたり。
そういう言葉だけではなく「行動」に「好き」がたくさん溢れ出ていたからだ。

ただ、私が許せない部分が彼にあって、彼に伝えたけれど 彼はそれを変えることができなくて、その変えられない彼を受け止め、許すことができなかったというだけなのだ。

だから別れた後も彼への愛は変わらない。
でも、情だけで動くのは自己満足で、それは本当の優しさにはならない。
だから私たちはこうやって別れを繰り返し、色んな苦しさや嬉しさを糧にまた新しい人を愛していくのだろう。
そのときはじめて、元彼への「好き」が同じ重みのまま「感謝」へ変わっていくのではないか。

「真実の愛とは何か?」と問われたらわたしはこう答える。
「見返りを求めない優しさ」と。