「ごめんね、別れようか」

恋人たちの日、バレンタインデーを目前に彼と別れた。

全部「占い」通り。彼と私が付き合うのは分かっていた

私は占いが大好きで、ネット占いの海を日々航海している。彼は、占いからインスピレーションを得た、妄想の中で出会った様な占い通りの人だった。

同い年の幼馴染を介して、彼と出会った。容姿は、すらっと高身長で、整った顔。そして、少し変わった角度の物事の考え方。全部占い通り、彼と私が付き合うのは分かっていた。

…って、普通にそんなわけない。最初こそ、ほぼ占い結果のままの理想通りの出会いを果たしたが、冒頭の通り別れている。占い通りの人が存在していて、それが彼だったら別れていないだろう。

そして、残念ながら私はわがままな女だった。私は、今すぐにでも結婚がしたいと常々思っている。彼と出会った時も、ずっとそう話していた。「結婚がしたい」とずーっと言っていた。

しかし、現実は片道270kmの遠距離恋愛。彼は専門学生だった。しかも、1年の留学を経ての入学、学年は一つ下だ。彼の帰省中に出会い、出会って2日で付き合った私たち。「地元が好きだ」と言った彼が卒業後、地元に戻ってくることを信じて送り出した。

彼との「結婚」を夢見ていたけど、一瞬で崩れ去り、砂となって散った

彼を見送ったあと、彼と2人でいた時に話した色んな事を1人で思い出していた。日常生活や家族のこと、過去の恋愛、そしてお互いの夢。

夢を語る彼は、輝いていた。専門学校卒業後は、会社に就職して修行をして、30歳でフリーランスになるのだと強く語っていた。そんな彼を見て、私もまた夢を見たいと思った。専門学校で学び、掴もうとしている彼の夢の背中を押そうと強く決意した。例え片道270kmだろうと、気持ちが有れば大丈夫。彼を支える人になろうと。

その2日後に知った。彼の専門学校は、4年制だった。固く心に誓った決意は一瞬で崩れ去り、砂となって散った。

専門学校と聞いて、勝手に2年制だと思っていた私が、完全に悪いのは分かっている。でも、結婚をしたい私からしたら、突如現れた真実のハンマーに夢をボッコボコにされたのだ。正直、未来が見えなくなってしまった。

そして彼は、真実を前に言葉を失った私に「4年なんてすぐだよ」と言った。フリーランスなって安定するまで、彼は結婚する気がないと言っていたことを思い出した。

彼の卒業まで4年。その後就職し、30歳ごろにフリーランスへ転身。その後安定するまでも長い道のりだろう。その時って、私一体何歳?

夢を語り合って、惹かれあった私たちを引き裂いたのも「夢」だった

残念ながら、私はわがままな女だった。
「おやすみ」のメッセージが送られてこなかった翌日。「おはよう」のメッセージがなかった日の夜。1日を共有できなくなった私たちに未来がないと思い「ごめん、別れたい」と伝えた。夢を語り合って、惹かれあった私たちを引き裂いたのもまた夢だった。

そして、バレンタインデーに向けて恋人が増える2月の初め、私たちは別れた。

最後に、思い出として彼と私の相性占いをした。結果を見て、もしかして全ては占い通りだったのかもしれないとふと思った。

彼との恋愛相性は、20%。当たるも八卦当たらぬも八卦。彼の「仕事で成功する」という占いも当たって欲しいなと思いながら、占いの画面を閉じた。