わたしにとって、読点を含む12文字では処理できないほどだった。
当時勤めていた職場で、一番仲良かった人を好きになった。共通の趣味があり、仲良くなるのに時間はかからなかった。初恋はその何年も前に経験していたはずなのに、その人を好きになって、想いが通じてから、この人しかいない! これこそ、人生最大の最初で最後の恋愛である! 今までの恋愛なんて肩書きだけだ! と思ってた。
最初はもちろん気のせいだと思っていた「好き」という感情も、あっという間に確信に変わったのをよく覚えてる。
彼と付き合った日々はキラキラしていて、わたしの「青春」だった
出会った当初、相手には恋人がいた。良い人でいたくて、友人として上手くいくよう背中を押したこともあった。「別れちゃえばいい」そう思っていたけど、言えなかった。
好きだからこそ、好きな人には幸せでいてほしい。その人といることが幸せであるなら、わたしはそれでいいと思ってた。弱ってるところに漬け込むようなズルい女にはなれなかったわたしは、変わりにヒロインにでもなろうと自分なりに支えた。
交際関係になれたのは、その人が恋人と別れてから。仕事の日は一緒に帰って、ご飯に行って、休みの日には少し遠くへ出かけた。
家に帰ってからも、次の日仕事で会えるとはわかっていながら、夜遅くまで連絡を取っていた。寝落ちしても、起きたら再開。好きな人の助手席に乗ったのも、県外へ好きなバンドのライブを見に出かけたのも、お泊まりしたのも、彼との日々は“ハジメテ”が多かった。高校時代に経験できなかった青春を取り戻しているようで、ただただキラキラしてた。
わたしは、自分で思っていたより「依存体質」だった
でも、そんな彼の優しさに甘えていたわたしは、ある意味自分のものになってから“良い人”でいるのが辛くなって素が出てきた。わたしは、自分で思っていたより、依存体質だったらしい。
彼が幼馴染の女の子と夜にこっそり会っていて、その幼馴染のSNSで知って大爆発。わたしに向けられていない時間が存在していることが、嫌だった。そこからは、絵に書いた様に崩れていく。
仲良い“友人”としての期間も長すぎたのだと思う。彼が別れを切り出さない“良い人”だったから、わたしから伝えた。彼の「わかってた」という返事に何か返すことはなかったけど、あの時に戻ったとしたら「あなたがそう言うとわたしもわかってた、だから告げた」と返すと思う。
別れてからも彼と会っていて、前に進めない自分が嫌いだったけど…
友人に戻った彼とは、最初こそギクシャクしたものの、変わらず食事に出かけたり遊びにでかけた。出会ったキッカケの職場を辞めても、頻繁に会っていたのは彼くらい。会う度に彼に対しての気持ちが復活せずとも多少モヤモヤして、前に進めない自分が嫌いだった。
その後、彼がきっかけで出会った人と交際して変わった。いつの間にか、当時彼に対して抱えていた想いは綺麗に消えていたのだ。交際していることを彼に伝えた時、心の底から喜んでくれた。「2人で会うことがあっても連絡がとれる相手だし安心だ」と。そんな言葉をかけてくれる彼こそズルい男。
今では彼と別れた後の交際相手と結婚し、7月に出産を控えている。
サヨナラの向こう側にあったのは、当時の自分には予想もできなかった“今”という幸せだった。