最近、繊細さんという言葉がだいぶ市民権を得てきた印象がある。
繊細さんと言ったりHSPと言ったり、呼び名はさまざまだが、いろいろなことに気がつきすぎて疲れたりつらくなってしまう、文字どおりハイセンシティブな人のことだ。
私自身も人の気配や相手の感情の動きに敏感で、ストレスが溜まったり無駄に疲れたりする経験をしてきた。でも、どういうときに疲れやすくなるのか冷静に分析することで、対処法もなんとなく掴めてきた。
たぶん敏感になる物事は人それぞれだろうけれど、世の繊細さんたちが自分なりの感情のコントロール方法をつかむきっかけになってくれたらと思って、私バージョンの自分との付き合い方を記しておく。

休めといっても休まない、働き者すぎる脳みそにストップをかける方法

対処法の話に入る前にまず言いたいのは、繊細さんというワードは決してネガティブな意味ではないということ。
もちろんマイナスの感情にとらわれることも少なくないけれど、多方面への気づきが多い分、小さな嬉しさや楽しさも多いはず。私の場合は、空気の匂いやキラキラした日差しに毎日でも感動できる。他の人からのちょっとした気遣いがたまらなく心地よくて、くすぐったい気持ちになる。こういうことに気づけるのって、実はちょっとすごいことなんじゃないかな。

問題は、ストレスを感じたりネガティブになったときどうするか、だ。
このネガティブ期に入るのは割と波があって、よくよく観察してみると体調とも連動している気がする。月経に合わせてネガティブ期が来やすい気もするし、日々の体調変化も影響していると思う。実際、たっぷりと睡眠をとって、明るいうちに散歩をした日は少しだけハッピー度が上がっている。

とはいえずっとポジティブではいられない。なんたって、気づいてしまうからだ。そして、気を使ってしまうからだ。そんなとき、どうするか。
いちばんおすすめなのは、趣味や集中できることにどっぷりとはまることだ。
繊細さんが悪い意味で過敏になってしまうのは、いろいろなことに気づく、つまり察知するセンサーの感度がとても高いからだと思う。そのセンサーは外からの刺激を無作為に受け入れ、脳はフル回転し、今までの失敗やつらい経験、不安などといういらないスパイスをふりかけまくってネガティブモードを爆進する。それは疲れるわけだ。休めといっても休まない、働き者すぎる脳みそにストップをかけるには?

そこで、趣味や好きなことの出番だ。
好きなことをしていると、自然とそれに集中する。気づいたら他のことは考えなくなっている。こういう状態を作り出すことができたら、しめたものだ。バラバラの方向を向いていたセンサーは一斉に目の前のことに向けられて、範囲外のことは聞こえなくなる。端的に言えば、無駄に考える余裕を脳から奪えばいいのだ。
私の場合は写真を撮るのが趣味なので、題材を探し、ファインダーを覗き、シャッターを切る動作を繰り返す。こうすることで心がだんだんと凪の状態に戻ってくる。

無理に明るくなろうとしなくていい。心に嘘はつけない

ただ、それでもマイナス方面に引っ張られてしまう、趣味に没頭する間もなく悲しい気持ちになってしまうときは、どうしたらいいのだろうか。
これは本当に人によるとしか言えないのだけれど、私の場合は、あえてどん底まで沈みこんでみるのもありだと感じている。しんどい、悲しい、もういやだ、そうやって鬱々とした気持ちを抱えて暗闇を這いつくばっているうちに、不思議と、ああここが底なんだと、ふと思うようになるのだ。
気持ちが明るくなる出来事を見つけたわけじゃないんだけど、こんなにもつらいのはここから先ないだろうと、ここからはきっと少しずつ気分が上向きになるだろうと、暗闇の中でもほんの少しだけ上り坂にさしかかったような。

ポイントは、無理に明るくなろうとしないこと。自分の心に嘘をついて、空元気で気持ちが上向きになるのなら、最初からそんなに沈んでいないはずなのだ。無視された心はまた悲しみを訴えるだけなので、自分の感情に寄り添ってあげることが大切だと感じている。
ただこの暗い気持ちの時にトラウマや苦い経験、プライドを刺激されるような情報を見てしまうとどこまでも奈落の底に落ちていく危険があるので、外界からの刺激はできるだけ少なめにすることをおすすめしておく。

全ての繊細さんが「繊細でよかった!」と言えるように

番外編としては、運動もおすすめである。
私はインドア派だし、疲れているときに運動をしようと気合をいれることにものすごくエネルギーを使ってしまうのだが、実践したことはある。
ジムに通って筋トレに励んでいたとき、呼吸をすることや筋肉を使うことに意識が向くから、これは自然と集中モードに入ることができていいなぁと思った記憶がある。
確かに頭はすっきりしたしそれなりの効果はあったので、こちらも試してみる価値は大いにあると思う。

自分の全てを受け入れて、全部好きになることはなかなか難しいかもしれないけれど、全ての繊細さんが声を大にして「繊細でよかった!」と言えるように、また気づいたことが出てきたらみなさんに共有していきたいと思っている。