2021年、21歳。そんな私は「自分に自信を持つ」ことを宣言する。
皆さんは”HSP”という言葉をご存知だろうか。HSPとはHighly Sensitive Personの略で、相手の感情、音や光りなど些細なことを敏感に感じ取る特性を持った人のことを指す。物の本によると、5人に1人がHSPであるといい、私もその1人であると感じている。
自分がHSPであると思ったのは6年前なのだが、このHSPのせいで私は中々生き辛い日々を送っている。
五感が敏感なせいで特に「音」に悩まされているのだが、最も苦手な音は咀嚼音と時計の秒針音である。これらの音をきくと心がムカムカして、ひどい時にはヒステリーを起こしてしまう。
普通の人には聞こえないような微かな音にも気付いてしまい、それが気になって他のことに集中ができなくなってしまうのである。普通の人には聞こえないような音。これは間違った表現かもしれない。
私の嫌いな咀嚼音や時計の秒針音も、実は全ての人にちゃんと聞こえているのである。しかし普通の人々はそれに意識が向かないことで「気付いていない」だけなのである。
勉強も運動も常にトップだった中学3年までの私 空っぽだった高校生活
ではどうして私は微かな音にも気付いてしまうようになったのか。HSPは生まれ持った気質であると考えられているのだが、私にこの気質が現れたのは高校1年生の時であった。
きっかけは高校受験に失敗したことである。中学3年生までの15年間、私は勉強も運動も常に学年トップであった。正直、自分に自信しかなかった。
特に勉強で良い成績をおさめること、地元で1番の高校に入学することが自分の存在価値だと考えていた。自分が第一志望の高校に落ちるわけがない、という自惚れが祟ったのだろうか。
結局私は高校受験に失敗し、地元で4番目に偏差値が高い高校に入学することになった。家族や友達には十分だと褒めてもらえた。しかし私は絶望だった。今までに味わったことのない挫折を味わった。それ以来私は、一切の勉強をしなくなった。高校3年間、定期考査の度に赤点を取りまくり、補習常習犯となった。部活も続かない、友達も中々できない。空っぽの3年間だった。
どうしてこの高校で勉強しなければならないのか、どうしてこの学校の人達と仲良くしなければならないのだろうか。自分の実力を棚に上げ、見下し続けた3年間だった。
次は大学受験、勉強が間に合わない焦り 集中できない
それでもまた受験がやってくる。大学受験だ。私は夢だけは持っていた。どうしても入りたい大学があった。理想の自分の想像ばかりしていた。でも勉強はしていない、間に合わない。自信がない。そんな時、赤本の過去問が解けない理由をいつの間にか「自分の勉強不足」ではなく「環境」のせいにするようになった。
「隣の人の鼻息が気になって集中できない」-「時計の秒針が気になって集中できない」ー「机と椅子の高さが合っていなくて集中できない」。大学受験への焦りが全て環境に向けられ、私は「集中」をすることができなくなったのだ。
それは大学受験が終わってもどんどんエスカレートしていき、匂いや他人の表情、感情などにも意識が向くようになり、自分が取り組んでいる「目の前のこと」への集中ができなくなった。「どうしてこんなに気付いてしまうのだろう」ー「どうして小さいことばかり気にしてしまうのだろう」ー「どうして1つのことに集中できないのだろう」。
私は「自分じゃない誰かになりたい」ー「あの人みたいにもっと楽に生きたい」ー「自分が嫌いだ」ー「音のない世界で生きたい」と考えることが多くなった。
高校受験の失敗からもう6年が経っているが、未だに自分への自信は1ミリも取り戻せていない。自分に自信があった15年間、解けない問題がなかった。
時計の秒針音なんか気にしている暇がないくらい問題を解く手が止まらなかった。
他人の感情なんか気にならないくらい、人から好かれる自分であると思っていた。
自分に自信を、心に余裕を 自分を振り返ると解決策がきっとある
HSPになってしまった原因を自分で考えた時に、「自信」がなくなってしまったことが原因だと気付いた。少しでも自信を取り戻せば、五感への刺激が気にならなくなるかもしれないと考えた。
だから私は2021年、自分に自信を持ちたいのである。心に余裕が欲しいのである。
HSPであることにはメリットもある。他の人が気づかないようなことにまで気配りができたりする。だから受け入れることも大切である。
これはHSPの人々へ向けた本に書かれていたのだが、実際にHSPの人々からするとこの気質はないに越したことはないと思う。
「自分に自信を持つ」というのは、誰かと比べて勝つことではなく、何か1つでも自分の目標を達成させることである。私は2021年、自分にできることを見つけ、自分への自信を取り戻してみせる。
P.S. 世の中のHSPの人々へ。自分がHSPになってしまった原因を考えてみよう。
心がだいぶ軽くなり、解決策が見つかるかもしれない。一緒に「生き易い」世界を作っていこう。
(参考:武田友紀著『「繊細さん」の本』)