マニアックな話。SNSでフォロワーに「おっさん」だと思われていた

「おっさんだと思ってたのに女子だったの?!」
 実際に私が、ツイッターのフォロワーさんに言われた言葉。
 ツイッターの私は、世間一般の人々が「女性」と聞いて思い浮かべるイメージから、かけ離れている。

大抵つぶやくのは、飛行機や乗り物の話題。船の写真をアップする。宇宙戦艦が艦隊決戦を繰り広げるSF小説の読書実況。

現実の私とは違う私になれるのが楽しくて、直接顔を合わせる乗り物好きではない友達にはなかなか話せない、乗り物マニアな話をツイッターではしていた。
乗り物好きに性別なんて関係ないじゃん、と私は思っていたから、冒頭に書いたフォロワーさんの言葉は、え、そんなに男らしいこと言ってたっけ、私? と思ってちょっと困惑した。

でも、直接顔を合わせないツイッターだからこそ「おっさん」「おねーさんだよ!」という、現実ではお互いに失礼になりそうなふざけあいもできて楽しい面もある。

好きなものに感じるジェンダーバイアス。時に「自衛」できる面も…

確かに、乗り物好きな女性は少ない。乗り物好きは十中八九男性だ。
大学の友達に、ひとりだけ乗り物好きの女の子がいる。
「女性の船ファンの人ってめったにいないし、いても年が離れてて仲良くできないことがあるから、学年一緒で良かった!」と感激された。
ツイッターで知り合った今の彼氏も、
「飛行機の操縦マニュアルをネット上で見つけたマニアがいると聞いて、最初は絶対に男だと思った」と言った。

でも、乗り物好きという趣味が男性に多いことで、ある意味インターネット上で自衛できている面も。
見ず知らずの男性からセクハラされるというトラブルがツイッター上での女性の知り合いに起きたことがあるが、私はその標的になったことがない。

ただ、女性を名乗る出会い系の誘いエッチなアカウントにフォローされることがあり、あまりにもハレンチなつぶやきを見る羽目になって、私は乗り物の話をしていただけなのに……と気が遠くなることはある。

乗り物好きは男性が多い、だから乗り物好きの人は男性、と推定するジェンダーバイアスがあることを、しみじみと感じるツイッターライフである。

好きなことを「好きだ」と言っているだけなのに。男性だと思われた

私は、現実のいろいろなしがらみから解き放たれた場としてツイッターを使って、どんな風に見られてもいいから、好きなことを好きだと大声で言っているだけなのだ。
普通の女子大生として、みんなで盛り上がるのが好きだから、マニアックすぎる趣味の話は自粛。自分語りだけで場を持たせるようなコミュ力、私にはないので。

女子らしい話は現実の大学生活でおなかいっぱい。趣味の話をしたい。そんなわけで、私はツイッターで乗り物の話をするのだ。
その結果、乗り物とSF小説の話ばかりのツイッターアカウントが誕生した。
女性らしいコスメの話もしないし、ツイッター男性ユーザーがたまに言う、女性関連の下ネタもつぶやかない。

中性的なつぶやきだけだったのに、ツイッター上では男性だと思われていたのだ。
直接顔を合わせる友達や、親からすれば間違いなく私は女性だし、私の性自認自体も女性であり、私はトランスジェンダーだ、と思ったこともない。

現実とSNSの自分。素直に従っていても見られ方は変わってしまう

単純に、大空を飛ぶ飛行機や、海をゆく船にロマンを感じているだけの女子大生なのだ。
だから、他人の目を気にしないで自分の「好き」を叫んだら、現実の自分とはかけ離れた「おっさん」として見られてしまうことが驚きだった。

現実の自分とインターネット上の自分は、どちらも自分の心に素直に従って自分らしく生きていたとしても、見られ方が大きく違ってしまうらしい。
インターネット上でも私は女性なんだけどなあ、とツイッターで思ったのが、かがみよかがみに投稿するきっかけになった。
もし聞けるなら、画面の向こうの人に聞きたい。
かがみよかがみの私は、女性に見えますか?