「わたしと生理」、この募集タイトルを見たとき、「あ、これは私書かなきゃ」と思った。
ぜひみなさんに知ってほしいことがある。

私は自分の力では生理がこない。初潮もなかった。
「え、どういうこと?」と思った方も多いだろう。
ほとんどの女性は、毎月生理がきて、生理に伴う食欲や痛みに耐え、女友達とその辛さを共感し合い……、そうして毎月乗り越えていく。

私は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)という病気だ。
PCOSを簡単に説明すると、ホルモンの分泌異常によって卵巣内で卵胞が十分に成長せず、排卵がうまく起こらないために生理不順や無月経という症状が表れる病気である。症状にはかなり個人差があり、時々月経周期がずれるくらいで生涯気づかずに過ごす人もいれば、私のようにほとんど生理がこない人もいる。

高校生になっても初潮がこなかったため産婦人科へ。治療が開始した

高校生になっても初潮がなかった私は、母に産婦人科に連れていかれた。
当時の私は、周りから「あんな若い子が産婦人科に何をしに?」という目で見られているような気がしてしまって、とても恥ずかしく居心地が悪かった。

実は、現在私は27歳だが、PCOSと診断がついたのは2年ほど前のことだ。
学生時代は単に生理不順として、ホルモンバランスを整えて自然と生理周期が整うのを待つという内服治療を行っていた。医師が診断ミスをしたのではなく、PCOSの診断自体が難しく、年月を経ていろいろな診断要素を満たし、初めてPCOSと診断されるのだ。
私はホルモンバランスの内服治療では生理周期が整うことはなく、内服を休止すれば生理はほぼこなかった。

学生時代から「生理特有の症状」の話題に共感できないことが悲しい

学生時代からずっと、ひそかに辛いことがある。
それは、自分の力で生理がこない私には、みんながいう「生理前特有の食欲の爆発」とか「生理前はイライラしたり涙が止まらなくなったりする」、「生理が終わったら痩せ期」というような実感がないことだ。

こういった身体への影響は、生理に伴うホルモンの分泌によって表れる。正常なホルモン分泌が行われない私には、当然起こらない感覚だ。
学生のころは特に、なぜか生理の話題がよく上がる。「今回めっちゃ痛いんだけど!」「なんで食欲止まんないんだろうって思ったら、生理前だわ~」「昨日ほんとにイライラしてさ、彼氏に当たっちゃったよ(笑)」……。

こういった話題に共感しきれないことが、昔からけっこう辛い。時にはわかっているふりをして、話題に無理矢理うなずいていたこともある。

人によってはかなり月経前症候群(PMS)や生理痛に苦しめられ、生活に支障をきたすくらい困っている人もいることは十分承知している。
でも私には、それだけ症状が出て、そのあとしっかり生理がくるということが羨ましい。

PCOSの治療としてピルを飲んでいる私から伝えたいピルのこと

PCOSはすぐにどうこうなる病気ではないが、放置しておくと子宮がんなどの別の病気や不妊になるリスクが高くなってしまう。
現在私は、低用量ピルを内服して意図的に排卵を止めている。医師によると、これが今の私にとっての最適な治療であるとのことだ。ピルの作用で、卵胞や卵巣を、妊娠を望む時期まで休ませることができる。決まった間隔で形だけの生理を起こし、子宮内膜を剥がして子宮内を掃除する。

ピルは先ほども触れたように、卵胞の成長と排卵を止める機能があるため、避妊の手段としてもよく用いられる。実際「ピル」と聞くと、避妊目的の薬であると想像する人の方が多いだろう。

これも私がみなさんに知ってほしいことのひとつだ。
ピルを持ち歩いている人を見て、「え、ピルまで飲んで避妊してるの?」と安易に決めつけないでほしい。病気の治療やPMS緩和など、別の目的で飲んでいる人もいる。

しかもピルは毎日決まった時間に内服しなければならないし、飲み忘れると、保険のきかない薬代、1か月分約3000円が水の泡になる。簡単な気持ちで続けられるものじゃない。
どうだろう、少し見方が変わるのではないだろうか。

生理がくることは当たり前じゃない。正常な身体に、まずは感謝を

生理からくる心身への影響、生理に関するハラスメント、世の中の生理への風潮……。
いろいろあるが、どんなに辛くても、あなたが毎月きちんと生理がきているのなら、まずは自分の身体に感謝してほしい。自分の身体を抱きしめてあげてほしい。
「いつもしっかり、私の内側で働いてくれてありがとう」と。

生理がくることは当たり前じゃない。
もし同じような悩みを抱えた人も読んでくれたなら、「ひとりじゃないよ、同じように向き合う人がここにもいるよ」と伝わっていたら嬉しい。
私自身、今後望んだ時に妊娠ができるのか、ピルはいつまで飲み続けなければならないのかなど、悩みは尽きない。でも今できることをやっていくしかない。
今はゆっくりしていてね、私の卵胞、卵巣たち。いつかあなたたち自身で本当の生理がくる日が来ますように。