「生理はこのくらい辛いんです!」と謳っている記事等を見る度に、もやもやした気持ちがうまれます。

男性は経験出来ないが故、想像するしかない生理痛の痛さや精神面での揺らぎは、やはりどう頑張っても完璧に理解するのは難しい。私の周りにいる同世代の男性でも、生理についてわかることい言えば、“月に一回血が出る”程度のもので、ナプキンの存在もいまいちわかっていない者もいた。無理もない。

「生理の痛み度合い」を表現する前に、痛いなら婦人科に行って!

そんな男性陣に向けてだろうが、生理の痛み度合いを理解してもらうべく、といったネット記事はよく見る。「気絶するレベルの痛み」「立てない」「鎮痛薬が効かない」など。そんな言葉を見る度に、まずこの投稿者が“生理”というものを理解していないんじゃないかと不安になる。

そんなに痛いなら、病院に行きなさい! といっていても、私自身もむしろ「こんなに痛いんだよ!」と発狂したいと思っていた側だった。

5年前に“PMS”という言葉をネットで見てから「私はPMSなのではないだろうか」と気づいた。PMS、とは月経前症候群(Premenstrual syndrome)の略で、生理前に始まる精神的・身体的な不調のことをいう。

その症状は、200種類以上。生理前に何かいつもと違う症状が出れば、それはほぼホルモンバランスの乱れによるPMSの症状だろう。

「生理痛はあるのが当たり前じゃないから」と医師の言葉

5年前、目眩が頻繁に起こったり、たまにお腹がひどく張ったりするようになった。PMSを知ってから意識してみると、生理前に起こっていることがわかった。今まで生理痛による下腹部の痛みがどんなに酷くても、“婦人科”の文字は頭になかったが、目眩は別だった。

これには鎮痛薬を飲んでも効果がないことは、分かりきって困っていたので、婦人科に足を運んだ。私は“生理痛の痛みは普通”のことで、“目眩は異常”だと思っていた。

婦人科に行って出た診断は、“子宮内膜症”であった。子宮が炎症を起こしていた。その診断名よりびっくりしたのは「生理痛はあるのが当たり前じゃないから」という医師の言葉であった。

「え、生理痛って普通ないんですか?」
「基本ないよ。少しの痛みが生じることはあっても、痛すぎるのは異常だからね」そう柔らかく笑って言った女医師の顔を、今でも忘れられないくらいに衝撃を受けた。

ネットに広がっている世の女性の意見を見ると、私より酷い生理痛を経験している人はたくさんいた。私も酷い時はあるが「鎮痛薬が効かない」とか「立てなくなる」ほどのものではなかったので、比較的軽いほうだと思っていたぐらいだった。

なんで今まで、“婦人科に行く”という選択肢がなかったのだろう。婦人科で処方してもらい、初めて見た低用量ピルを前に、少し不安な気持ちと共に、10年以上付き合っていた生理について何も理解しておらず、ただただ痛みに文句を言っていた自分にショックを受けていた。

「生理はこのくらい辛いんです!」と他人の意見に惑わされないで!

自分の身体のことなのに。この下腹部で何が起こっているのか何もわかっていない。なのに、知った顔で「痛いよね~」だなんて生理痛の経験談なんかを語っていた。「生理痛はあるのが当たり前じゃないから」あの言葉が何度も頭に巡って、その言葉は本当か不安になり、持っていたスマートフォンで検索をかけたりなんかもした。常識が覆されたのだ。

しかし、その常識とは、教えてもらった常識なのだろうか。生理に関して、しっかり授業を受けたのか。私のこの常識は、ネットで度々目にしていた「生理はこのくらい辛いんです!」という他人の意見のかき集めによって出来た知識だった。

低用量ピルを服用しはじめてからは、その快適さに心躍った。生理周期のコントロールはもちろんだが、痛みが少ないのだ。そして、子宮内膜症の炎症もきれいに引いていった。ただ一年後に、組織の生着が固まってしまったのか、卵巣嚢腫で手術を行った。

私は手術後には低用量ピルをやめてしまったが、今は5年前程の痛みやPMSの症状はなく落ち着いている。

生理痛が本当に辛くて鎮痛薬を飲み続けているのなら、すぐにでも婦人科に行ってほしい。生理による精神的な苦痛に悩まされていても同様に、病院に行くことは大袈裟でもなんでもない。足を捻挫して痛みがひどい場合や、腫れが悪化したら病院に行くと同じ感覚でいてほしい。

私は、世の“女性”の生理に関する常識を変えてほしいと思う。