私は大学3年次の女性です。
私はサークルに加入しています。このサークルは男女の仲が良く、よくみんなで宅飲みをします。お酒が飲めなかった時は、ソフトドリンクとゲームをして遊んでいました。
まるで小学校の時の放課後のようで、この時間がずっと続いて欲しいと願っていました。
グループの中に気になる彼。グループの関係が壊れるのが怖かった
よく集まるのは、私を含めた女性2人、男性3人の5人です。
私には1年の時に、この中で気になる彼ができました。ただこの5人の関係が壊れるのが怖くて、それ以上のことは考えないようにしていました。
そして、コロナの流行が起こり、サークル活動の制限をされ、1年間くらいは集まれませんでした。今でも、コロナの流行は収まりませんが、大学側は制限の緩和をしました。これでようやく、また集まれるようになったのです。
今度はお酒が飲めるようになり、ゲームの代わりに映画を見ることが多くなっていきました。
ここが問題の始まりでした。もう1人の女性が私の気になる人を好きになったのです。
それを言われたのは、彼女の家でサシ飲みをしていた時です。
少し顔が赤く、何かを恥ずかしがるように話し出しました。
同じ彼を好きになった彼女からの告白。「私も彼が好き」と伝えた
「わたし、~くんがすきになったの」
クシャッとした笑みは幸せそうで、目はとろんと美しく艶めいていました。
初めて見る表情でした。これが恋する少女なんだと、これほどまでに恋は人を変えるんだと。今まで腑に落ちなかった少女漫画の表現が、すとんと理解できるようになりました。
わたしは彼女にこう伝えました。
「私も彼が好き」
「それじゃあ私たち、おんなじ人をすきになったのね。やっぱり~くんはかっこいいよね!これからがんばってこ!」
一瞬、彼女は悲しげな表情をしましたが、すぐに微笑みました。まるで私が同じ人が好きでも問題ないみたいに。私は頷くことしかできませんでした。
そこから、彼に対する彼女の態度は変わりました。
宅飲みで買い物をするときも、テーブルを囲んで座るときも、必ず横にいます。少し彼が早く歩くと、服の端を少し摘んでクイッと引っ張ります。パタパタと彼に駆け寄る姿はとても可愛らしく、彼に向ける笑顔はまるで太陽のようでした。
宅飲みで夜遅くなった時は眠くなった人から、その場で横になっていきます。
もう夜も深まり、私は横になってうとうととしていました。他の子もみんな横になっていました。さっきまで見ていた映画は付けっぱなしでしたが、部屋の明かりは消えていました。
その薄暗い中、彼女の手は彼の頭の上にありました。ゆっくりと頭を撫で、大切なものを慈しむようでした。
恋が始まらないのは彼女のせい?私はもともと彼を好きじゃなかった
私の恋が始まらなかったのは彼女のせいだと思っていました。気になる人ができたけど、彼女が好きになってしまったから、私は彼にアピールすることもできず、諦めたのだと。
でも、今はそうじゃないと思っています。だって、もし彼が好きな人だったら私も彼女みたいにずっと笑えていたはずですし、彼のことをもっと見ていたはずです。
これを書いていく時、最初に思い浮かんだのは彼女の笑顔でした。わたしは少しも、気になる彼の顔を見ていなかったのです。
彼女の動作や表情がわたしの持っていないものだったから、嫉妬して、嫌になって、苦しみました。
だけど、彼女のように恋をしていたら、彼女の顔より彼の顔が最初に思い浮かぶのではないでしょうか。私は多分、彼をもともと好きになっていなかったのです。
私はなりふり構わず恋をすることはできません。もしくはそれほどまでに好きになれる人にあっていません。
周りを気にして、この状態がずっと続けば幸せなのにと思ってしまうから恋が始まらないのだと思います。
もし彼女のように恋ができたらと、願わずにはいられません。