“蛙化現象”というものをご存知だろうか。蛙の王子様という物語の反対の現象という意味で、簡単に説明すると、相手を追いかけている状態の時。つまり、相手を自分のことを好きにさせるまでは熱を注ぐが、相手が自分の事を好きになると熱は急激に冷めてしまう。恋心はなくなるというもの。

私は、蛙化現象を患っている。

蛙化現象を患っている私は、恋愛する度に「蛙ちゃん」と笑われる

一応現在、恋人はいるのだが蛙化現象状態である。蛙化現象とは厄介なもので、「あっ!この人好き!!!」となって恋が始まりそうでも、その熱はすぐに終わってしまう。それを繰り返すうちに、「私は恋愛不適合者なのだ」と思ってしまう。

蛙化状態になると、相手の匂いを嗅ぐだけで気持ち悪くなるし、手も繋ぎたくない。キスなんか無理。考えたくもない! ってほどになる。むしろ顔も見たくない。悪寒。

兄弟にそのことを打ち明けると、恋愛する度に「また蛙ちゃんじゃん!」と笑われてしまう。

こうして蛙ちゃんとなった25歳の私は、恋人は一応いるものの、恋には既に無頓着で、結婚願望はあるが、いざ結婚したいなという時には、婚活アプリで結婚相手をサクッと探して、サクッと結婚しようと考えるようになった。

自己表現が下手な彼との「恋愛」が、蛙ちゃんにはぴったりなのだ

仕事は保育士。この時点で、男性との出会いがある職場ではなく、プライベートでは男友達はいない。好きなことは、男女アイドルのヲタク活動をすること。女性、男性アイドル共に5歳ごろからずっと好きで、ライブに行ったり映像を見たりしている。

1日の楽しみはアイドルからの供給を拝むことで、アイドルヲタクを充実させている為、恋愛をしなくても気持ち的に間に合っている部分はある。さらに、男性アイドルは顔も性格も王子様的な人が多く、時々恋愛沙汰で取り上げられることはあるが、媒体状では絶対にファンを裏切らない存在なので「〇〇くんかっこいい!!やばい!!生きる希望をくれてありがとう!!」と言っている時が1番幸せである。

もし、アイドルに彼女や彼氏が出来ても、私はアイドルとして応援しているので、彼らのプライベートがどうであれ、アイドルとしての見方は変わらない。

アイドルヲタクだからなのか、好きになる人も顔を重視してしまう。現在の恋人は、言い方は悪いが顔が少しかっこいいだけ……。というか、あまり彼のことを知らない。

同じ職場で唯一の男性で、仕事終わりに一緒に帰った時に告白されたけど、断る理由もないからなんとなく付き合った感じ。顔がタイプではあるが、彼自身にはあまり興味がなく、好きな食べ物はオムライスということと、最近バイクを購入したということ。食事中にゲームを始めるという変なクセがあることくらいしか知らない。というか、興味がない。

男の人は、本能的に浮気というか興味を示す生き物だと考えているからか、あまり信用出来ない為だろう。信用して裏切られる苦しさは、既に味わっている。

今回の顔が良いだけの恋人とは、なぜ恋愛関係が続いているかというと、相手も私のことが好きなのかあまり気持ちが伝わらない性格だからということ。年下だが、冷静で客観視できる彼は、自己表現が下手。自分のことはあまり語らず、「好き!大好き!」という気持ちがあまり見えない。一般的には寂しい恋愛だと思うが、もしかしたら蛙ちゃんにはぴったりの相手なのかもしれない。

蛙化現象は、個性だと思う。楽しくもなり、悲しくもなるから面白い

こうして王子様のようなアイドルを追いかけて、リアルな恋を信じなくなった蛙となった。だが、それは悲しいわけではなく、むしろ心は安定し充実している。恋ではなくアイドルに癒しを求める25歳の自分としては、満足できる暮らしをしている。

保育士として職場では、カエルの歌をよく弾いたり歌ったりする。単純な音と単純な歌詞だが、カエルの歌は楽しい曲だと思う。

私のイメージはカエルの学校があって、みんなで仲良く歌ってるイメージ。キーを変えてコードをマイナーに変えると、悲しいカエルにもなる。キーを上げると、楽しそうなカエルになる。カエルの歌はよく1フレーズ遅れに歌ったりハモリを入れたり、いろんな歌い方をする。色んな歌い方があり曲調にもなり、面白い曲だ。

蛙化現象は、私の個性だと思っている。自分自身の蛙化状態を解決しなくてもカエルの歌ような楽しくもなり、時には悲しくもなり、面白くもなる自分の思い思いの恋愛ができれば良いのかなと思う。