#07 大貫家運営会議

皆さんこんにちは!シオリーヌです。
少しあったかくなってきたと思ったらあっという間に夏のような日差しになり、そうかと思えば梅雨が訪れ、季節の変化に身体がついていかないぜという方も多いのではないでしょうか。私もガッツリ、五月病です。
こういう時は無理せずに、堂々とご自愛するに限りますね。私も食べたいものだけ食べて、寝たいだけ寝て、積極的にぐうたらしていきたいところです。

さて、早いものでこの春でつくしと結婚して1年が経ちました。
春夏秋冬をぐるっと一周ともに過ごす中で、モメることも喧嘩することも衝突することもありましたが(全部モメとるやないか)、その度に向き合い、話し合い、より強い信頼関係を育むことにコミットし続けてくれた夫には感謝しかありません。

そんな私たちは先日初めて「大貫家運営会議」を開催しました。
これが非常に楽しく面白く、夫婦の関係性にも良い影響を与えてくれるものだったので、今回は私たちが取り組むことにした運営会議について皆さんにお話ししてみようかと思います。

家族間のコミュニケーションは重要視されていないのでは?

「コミュニケーションって、大事だわぁ……」と呟く機会が、結婚してから段違いに増えたように思います。
それだけ違ったバックグラウンドを持つ人と家族になるということは難しく、丁寧にコミュニケーションを取らなくてはならない場面が増えたのでしょう。

自分の中では常識だと思っていたことも、相手にとっては理解できない価値観であったりする。そうした関係性の中でお互いが心地よく生活していくためには、これまで無自覚に取っていた言動の一つ一つを、丁寧に言葉で表現するという努力をしてみる必要がありました。

でも家族間でのコミュニケーションって、社会的にはあまり重要視されていないように感じることがあります。
新卒で就職した大きな総合病院では、先輩助産師が「新人に効果的に思いを伝えるためのコミュニケーション術」を学ぶための研修が用意されていたし、本屋さんに行けば「できる人の話し方」「稼ぐ話術」「仕事で必要な本当のコミュニケーション能力」なんて帯のついた本はたくさんある。
それなのに一番身近で暮らす他者である「家族とのコミュニケーション」に焦点を当てた情報は、あまり見受けられないように思うのです。

一体なぜなのだろう。こんなに大切なのに。

と、夫と話し合っていたら「家族間でコミュニケーションを頑張ってとっても、誰にも評価してもらえないからじゃない?」という結論が出ました。

正直コミュニケーションを丁寧にとるって、めちゃくちゃ大変じゃないですか。
無意識にとってしまうような自分の言動を一つ一つ捉え直して背景にあった感情を言葉にするのも大変だし、相手にイラッとしてしまった感情を一旦引っ込めて落ち着いて話を聞こうと気持ちをコントロールするのだって、話し合いのために仕事や家事を一旦止めて時間をつくるのだって大変。

たとえばそれが職場なら、そうやってコミュニケーションに時間的・精神的なコストをしっかり払ってチームメンバーとの信頼関係を構築していくことが、給与アップや人事的な評価といった目に見える形で認められることもあるかもしれない。

でも家庭だったら?
もちろん喧嘩が減ったりすることはあるだろうけど、起きていない喧嘩を自覚して「お、これはコミュニケーションをとった成果だ!」と気付くのはなかなか難しい気がするし、当たり前だけど家庭の中で出世したり給与が増えるなんてことはない。

上がらなくて当然じゃね?モチベ。

といった議論の結果、我が家で導入されることになったのが「大貫家運営会議」です。

相手に対する努力の評価を話し合ってみたら、とにかく楽しい時間になった

企業では毎年の予算や経営方針、1年の到達目標などを検討されるであろう運営会議。
そうした会議を家庭内でも設けることで、1年間パートナーシップに対して向き合ってきた姿勢やコミュニケーションコストを払って努力した実績を互いに認め合うことにしようと決めたのです。

会議では二人が1年間築いてきたパートナーシップを5つのカテゴリー(パートナーシップ・家事・仕事・経済・健康)に分けてA〜Cの3段階で評価。
それぞれの分野で互いにもっていた思いを話し合います。

分野別の評価が終わったら、つくしは私へ、私はつくしの1年間の評価と思いを伝えます。
そして最後に次年度の目標を話し合って決定し、閉会となります。

▼作成した議事録テンプレート

家族会議のために作成した評価表
家族会議のために作成した評価表です

この会議は年に1回、結婚記念日に行うことを決定しました。毎月やるには負担が大きくて続かなそうだし、会社とかでも年度ごとに振り返りとかしてるし。ということで、つい先日「第1回大貫家運営会議」を実施しました。

これがもうとにかくいい時間でした。楽しかった。
当日はつくしの「楽しい時間にしたいからどっかに出かけよう」の一言でスタバへお出かけし、コーヒーをおともに話し合いました。

各カテゴリーへの我々夫婦の評価はとっても個人的な内容だったのでここでは紹介しませんが、私が特に嬉しかったのはつくしから私にくれた評価の部分。
「お互い価値観の違う部分もあるけれど、心理的安全性の高さを感じながら話し合いを出来るのは詩織のおかげ」といった評価を総評としてくれたのが、すごく嬉しかったです。

面倒がられたこともある「話し合い癖」。互いが向き合うことが暮らしの基盤になる

というのも私はつくしに出会うまで、自分の「考えすぎ癖、話し合い癖」を結構めんどくさいものなんじゃないかと捉えてきていたのです。
学生時代に交際していた恋人には、喧嘩のたびに「なあなあにせずにきちんと話し合いたい」と言っていたら「そんな毎回真面目に付き合ってらんないよ」と言われたこともあったし。

パートナーとの関係性を大切に思っているからこそ、長く続けていきたいと思っているからこそ、真面目に考えるし真面目に話し合いたいと思ってしまうんだけど、そういうのはめんどくさがられるものなんだというふうに長年少し引け目に感じてきた。
そんな私にとって、つくしのこの言葉はすごく嬉しく安心感を与えてくれるものでした。

会議の終わりには次の年に家庭に起こりそうなライフイベントやそれに伴うトラブルを予測して、それを共有した上でどんなふうに乗り越えていくかという目標を立てられたことで「さあ、また一年力を合わせて頑張ろう」という気持ちになれました。

家族ってわざわざ意識してコミュニケーションをとらなくても一緒に暮らしていけちゃうし、そんな気遣いしなくてもいいのが家族なんじゃないのって思う人もいるかもしれないけど、でも私はやっぱり家族だからこそ意識して話す時間をつくる必要があるような気がしています。

お互いにコミュニケーションに少しコストを払って、しっかり向き合って話し合っていくことで、一緒に生きていくための基盤が育まれていくんじゃないかなって思う。

この議事録がここから何年、何十年と溜まっていって、お互い中年になったときに「懐かしいね」と読み返すのが楽しみです。

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“性の話をもっと気軽にオープンに"をテーマに、 性にまつわる様々な情報を発信する助産師の性教育YouTuberシオリーヌ。 身体の仕組み、感情や欲求との向き合い方、大切な人との付き合い方、自立について… 学校でも、社会に出ても誰からも教わることができない「性」にまつわるあらゆる問いに、 真剣に向き合い、具体的な知識を伝えるための一冊です。