交際数カ月で結婚を決めたのは、政治やジェンダーについて話せる相手だったから
助産師で性教育youtuberのシオリーヌさんは、今春に看護師のつくしさんとご結婚。 「ジェンダーイコーリティな関係を目指しています!」と話す二人ならではの向き合い方をそれぞれの視点で綴ります。
助産師で性教育youtuberのシオリーヌさんは、今春に看護師のつくしさんとご結婚。 「ジェンダーイコーリティな関係を目指しています!」と話す二人ならではの向き合い方をそれぞれの視点で綴ります。
大貫夫婦の「結婚生活A面/B面」、3回目の更新になりました。
身近な知人からも「あれ読んでるよ」と声をかけてもらえることも多く、嬉しいような恥ずかしいような不思議な気分ですが、楽しみにしていてくださる方、ありがとうございます。
この連載があるおかげで二人のこれまでの歩みを振り返り、あらためて夫とありがたい日常に感謝する機会になっています。ちなみに今回の記事は、締め切りの3日前までバチバチにケンカをしていたので原稿を書く気になれず、今締め切り間近に慌ててパソコンに向かっています。(感謝はどうした)(締め切り前に仲直りできてまじで良かった)
さて、前回は同棲しはじめたところまでお話したので、今回は「結婚することに決めるまで」のお話をしてみようかと思います。
一度結婚も離婚も経験した自分が、どうして交際数ヶ月でつくしとの結婚を決意したのか、結構いろんな人に質問されるところでもあるのです。
つくしと一緒に暮らしはじめてからの日々は、それまでの心配をよそに、拍子抜けするほど穏やかで平和なものでした。もちろんちょっとしたぶつかり合いやケンカはちょこちょこしていましたが、一つひとつ向き合って対話を重ねていくことで、むしろ相手への信頼感が積み重なっていくような感覚もありました。
特に嬉しかったのは「パートナーと政治やジェンダーなどの社会問題について話し合える」ということ。これまで交際した相手とはそうしたいわゆる“真面目な話題”って、あんまり話したことがなかったのです。
よくよく考えれば特に多くの時間をともに過ごす相手なのだから、生活に密接に結びつくそうした話題を避けることの方が不自然なようにも思いますが、それでもなんとなく“そういう話題”は性教育に関心のある仲間とか若者の政治参加を呼びかけている友達とかと共有するものであって、家庭に持ち込むものではないように感じてしまっていたのです。そういう人って結構多いんじゃないかな。
でも、いざ自分にとってすごく身近なパートナーと社会問題について意見交換をできる環境になってみると、それってすごく居心地のよい関係性でした。私たちの取り巻く社会をどんな眼差しで見つめているのか、若い世代にどんな未来を残したいと思っているのか。そうした価値観を共有する中で「ではこの家庭という小さな社会はどう運営する?」というすり合わせも、当たり前にできるようになっていったように思います。
だからこそ、つくしと過ごす日々が余計に安心できるものに感じられていったし、そのうちに「つくしと一緒に子育てができたらいいな」と思うようになったのも私にとってはとても自然なことでした。
彼と付き合うと決めた時、私は27歳で「妊娠・出産」というライプイベントについて漠然とした希望がありました。離婚をした時には正直もう二度と結婚なんて御免だという気持ちもあったけれど、それでも自分の身体で妊娠や出産を経験することを諦めるという決意はできていなかったのだと思います。
つくしにも付き合う?どうする?という段階でその思いは伝えていて、私としてはまだ若い彼に私のライフプランを背負わせてしまうのも申し訳ないと、交際に二の足を踏んでいたのですが、彼が「いろんな経験を重ねてきたお姉さんと付き合おうと決断しているんだから、そんな軽い思いじゃないですよ」と言ってくれたことで、パートナーになる決心を後押ししてもらいました。
そうした経緯から二人の間にはなんとなく、いつか結婚して家庭を築いていくのかなという雰囲気がふんわりとあったようにも思うのですが(私が思っているだけだったらウケる)、それを明確に言葉で確認したのは、同性婚を日本でも法制化してほしいと訴えるアクションを起こしているMFAJ(Marriage For All Japan)という団体のイベントに、二人で参加した日の夜のことでした。
イベントをきっかけにしてお互いの結婚に対する思いを話し合ううちに、どちらからともなく「私たちはどうしようね」という話になり、確かつくしが「いつかするなら今しない理由も特にないから、もうする?」と言って、夫婦として暮らしていくことになりました。
唐突に決まったことではありましたが、自分としてももしもう一度結婚に挑戦するならつくしとがいいと思っていたので特に驚きはなく、むしろその場ですぐに連絡した互いの親がめちゃくちゃ驚いていたことをよく覚えています。
と同時に、私たちはたまたま異性カップルだから当たり前に結婚という選択をすることができる。その特権を強く感じる機会にもなり、改めて日本でも同性婚が法整備されるまで必ず一緒に声をあげていこうと心に決めました。
つくしと結婚しようと決めてからも、「事実婚にするのか?」「法律婚にするのか?」「改姓するなら名字はどっち?」などさまざまな話し合いを重ねてきたので、そんな話は次回以降にまたゆっくりしていこうと思います。
“性の話をもっと気軽にオープンに"をテーマに、 性にまつわる様々な情報を発信する助産師の性教育YouTuberシオリーヌ。 身体の仕組み、感情や欲求との向き合い方、大切な人との付き合い方、自立について… 学校でも、社会に出ても誰からも教わることができない「性」にまつわるあらゆる問いに、 真剣に向き合い、具体的な知識を伝えるための一冊です。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。