生理と私の関係は、いつの間にかそばにいた友達との関係のようだと、最近思う。
いい関係のときもあれば、うまくいかなくてケンカしたり、距離感がわからなくなったり。
生理と私の付き合いは、自分のなかにある個性の強い、でも離れられない友達と、向き合ってきたような15年間だった。

11歳で訪れた初潮。生理を意識しはじめたのは大学生以降だった

私の初潮は11歳で、母が使っていた生理用品を教えてもらった。
父に、おめでとう、と言ってもらったことを覚えている。
確かにその時、毎月血が出るらしい、とぼんやり思った記憶はあるが、これが妊娠や出産に関わる女性特有のものであることは、中学生の保健の授業まで知らなかった。

高校生までは、生理痛がひどいといった症状に悩むことはなかった。
女子校だったので、友人と隠す様子もなく教室で生理用品の貸し借りをすることもあった。
16歳のころにダイエットをして、生理が2~3か月おきになったことがあり、母親からは心配されたが、10代のうちは生理も不定期だから、という話も聞いたりして、婦人科の受診などはしなかった。
試験期間、体育祭などの行事、受験など、とくに生理に困った記憶はない。

生理について、意識するようになったのは、大学生以降だ。
一人暮らしを始め、大学生活という右も左もわからぬ多様で広大な海に放り出されたような生活のなか、生理の症状が一気に増した。

生理前から少しのことで怒りっぽくなったり、気分が容易に落ち込んだり、急に悲しくなったり、身体的にも精神的にも消耗するようになった。
生理が始まれば体の内側から締めあげられるような痛みがあり、市販の鎮痛薬を飲んでも効かず、眠れず、冷や汗や手の震えがでることもあった。

自分が自分でなくなる感覚。「生理なんていらない」と思うように…

生理なんていらない、女子は面倒くさい、と正直思うようになった。
生理痛がつらくて何もかもやる気をなくす。イライラするし眠くなる。お風呂に入れない。いきなり出血が始まって下着が汚れる。
せっかく前から予定していたお出かけも楽しめない。生理パットは蒸れて気持ち悪いし、よく動いた日はパットからも溢れてしまって洗濯の時にため息。

生理がくる前も、生理中も、自分が自分ではなくなったみたいで、やりたいことも手がつかなくなってしまう。
そして初めて彼氏ができたことで、生理による私の不調や、出血が続くことが、彼を不機嫌にさせてしまうのではないかという心配も感じるようになった。

こうやって書いてみると、私が感じてきた生理なんて嫌だ、という思いの理由はすべて、
“今の自分の日常生活を脅かすから”につながっていた。
バイトをする、自分の好きなときにお出かけする、友達と過ごす、頑張りたいときに頑張る、できるだけ明るい気持ちで過ごしたい、そんな日常生活を、自分の体のせいで、もっと言えば、女性というだけで、思うようにできなくなることが、もどかしい。

それでも、私は大学生の間、そして助産師を目指した大学院の間も、産婦人科に受診することはなかった。症状はつらくても、どうしても産婦人科に行きたくない、ピルを飲みたくない、という自分の中で折り合いのつけられない気持ちがあった。

それには2つ理由があった。

思い切って産婦人科を受診。ピルの処方で生理との関係は良好になった

ひとつは、生理は本来女性みんなにあり、
世の中には生理痛が軽い人も、メンタルが変動しない人もいるのだから、生理の症状は自分でなんとかしてみせる、自分でコントロールしなくてはいけないという意地があった。

もう一つは、ピルのホルモンという自然ではないものよって体をコントロールされて、女らしさ、自分らしさを失うことになるんじゃないかという不安。
でも、生理の症状に悩まされるたびに、自分の体はなんて面倒くさいんだろう、ホルモンに振り回されている自分って最悪、といった自己嫌悪までわいてきて、22歳の時思い切って、産婦人科に受診した。

予想通り、月経困難症という診断名で、ピルを処方された。
太るのではないか、頭痛とは副作用がないか、最初飲むときには緊張したが、ピルと私の相性がよかったようで、症状は前の10分の1くらいに、出血もかなり減って、体としてとても楽になった。

心配していた、ピルによって自分の身体がコントロールされて自分らしさを失うんじゃないか、という思いはむしろ逆になった。
ピルを飲んでいることで、生理とちょうどいい距離感ができて、症状も抑えることができて、自分の状態を安定させられていることに安心を感じるようになった。

生理は、自分の体の一部だから、うまく付き合いたい。
私の生理はきっと、自分のなかにある個性の強い、でも離れられない友達のようなもの。
友達との関係だから、ときには間に人に入ってもらって相談したり、付き合い方を変えたり、直接話し合って向き合う必要があると思っている。

今、生理と私の関係はいいところで落ち着いて、良好だ。
内服するピルの種類も決まり、症状も軽く、大量出血に悩むことも、妊娠の不安を感じることもない。
でも、もし妊娠したい、子どもがほしい、と今後思うようになったら、また関係も考え直さないといけないだろう。