生理中の授業は、いつも気が気じゃなかった。
私は生理が比較的重たい方で、毎月のように生理に苦しめられていた。
毎月貧血によるふらつきと腰や関節の痛みと悪寒の症状がでるうえで、2、3か月に1度はその症状の具合がとびきり悪くなることがあった。
「しんどい」で埋め尽くされる生理期間。受験生にとって致命的だった
その月の生理の期間は、自分が嫌になるほどの辛さだった。
真夏であるにもかかわらず腰の痛みからカイロをはって学校に行ったり、合唱の練習中に立ってられなくなって担架で運ばれたり、座っていたとしても上半身を支えることもできなくなったりした。
この症状のために、授業中は集中ができるはずもないし、そもそも1時間近く同じ姿勢を保っていることがつらかった。とにかく具合が悪すぎて、頭のなかが「しんどい」という言葉で埋め尽くされていたのである。
そんな私も高校3年生の受験期を迎えた。受験生は勉強が命。とにかく机に向かって勉強時間を確保し、時間を測りながら集中して試験の解き抜く体力をつけなければいけない。
しかし、生理中には椅子に長時間座り続けることがつらいし、集中力は生理痛にかき消される。
1か月に1週間弱も、ガクンと勉強時間が減ることは受験生にとっては致命的である。
そんなとき、母から提案があった。
受験生の秋から飲み始めたピル。飲み始めて、その違いを実感した
「ピルを処方してもらったら?」
実は私の生理が重いのは母譲りで、母は私よりも生理痛で大変な思いをして来たのだった。
だから、母は受験生の私が生理痛で苦しんでいる気持ちを十分に理解してくれて、ピルというものを教えてくれた。
ピルというのは、生理周期を管理するもので、これを飲めばいつ生理がくるのかが分かるということ、ピルが生理痛を軽くしてくれること、そしてピルの飲み方次第で生理地周期を操作できるようである。
私は受験生の秋にピルを飲み始めた。一粒の小さな錠剤を毎日飲むだけ、というごく簡単な習慣で、どこまで自分の生理事情に変化があるのかは正直半信半疑だった。
しかし、実際に飲み始めから生理が何度か来るとその違いは歴然だった。
ピルを飲み始めてからは、世界が変わっているかのようだった。
そもそも、いつ来るのかが分かるだけでも心理的に楽になる。生理が来るタイミングでたくさん睡眠時間が取れるように勉強スケジュールを組めるし、来るという日に大きめのナプキンを付けておけば心配も少ない。
付き合い方さえ考えれば、ピルは心身のお守りのようだと思う
そして何より、多少の生理痛・腰痛はあるものの、明らかに体が軽い感じががしてイライラすることが減った。そのおかげで生理期間でも勉強時間が減らなくなった。
ピルのおかげで生理に対する意識が大きく変わっているうちに、受験本番の2月を迎えた。
その頃の私と言えば、受験のストレスのせいで胃痛や吐き気に悩まされていた。
塾の先生は勉強の相談には乗ってくれるし、気晴らしの方法も提案してくれるが吐き気を治すことはできない。
そんなとき、毎月ピルをもらいに行っていた産婦人科の先生は相談に乗ってくれた。そして、薬を出してくれた。その薬を飲むと胃痛は治った。
また、二次試験がいつもの生理周期であればかぶってしまうことに気づいた。いくらピルのおかげで生理痛が楽になっているとはいえゼロではないので、二次試験にかぶってしまったら解ける問題も解けない。
しかし、私にはピルがある。服用のルールに則りながら、私は生理周期を1週間ずらした。
そのおかげで、私は二次試験に集中することができた。
結局、私は第一志望の大学に合格することができた。母は勉強してきた成果だねと言ったが、その背景には母の提案によって生理の苦しみから解放されたことがあったと思う。
今、私は大学3年生で、今でもピルのお世話になっている。付き合い方さえ考えれば、ピルは心身のお守りのようだと私は思っているのだ。