メイクとの距離感は経験、年齢を重ねるごとにどんどん変化していっている。

私は、1年半前くらいから現在に至るまで、嫌々半分メイクをするようになった。
きっかけは、外に働きに出るようになったからである。
よくありがちな理由でがっかりさせてしまったかもしれないが、これだけはキッパリと宣言させてもらう。「社会人だからメイクをするのが当たり前」という風潮がその当時も今も嫌いだ。

メイクに対する印象は「肌がかわいそう」で得体の知れないモノ

実際働く以前は、全くもってメイクに興味がなかった。厳密に言うと、メイクをする必要性を見出せていなかった。
以前の私が抱いていたメイクに対する印象は、肌がかわいそうでよくわからない得体の知れないモノ。

肌がかわいそうという印象に対して、メイクをするたびに肌の叫び声がヒシヒシと伝わってくる感覚を持っていた。
定期的にできるニキビ肌にファンデーションを塗りたくり、極め付けにコンシーラでとどめを刺す。私が肌だったら、もうやめてー、これ以上痛めつけないでー、と泣き叫んでいる。
鮮やかな色やキラキラしたものを肌に塗っていると想像するだけで、肌がかわいそうになってしまう。

恥ずかしながら、肌に優しいものや肌のスキンケアをしてくれる商品も存在していることをその当時の私は知らなかった。
今現在の私も、メイクは肌がかわいそうという印象は未だに拭いきれていない。
そのため、仕事以外では面倒くさいという理由も相俟って極力メイクをしないようにしている。また、メイクをした日には寝る前にちゃんとメイクを落とすようにしている。

メイクは得体の知れないモノという印象に関しては、何から始めて何を揃えて何をしていいのか知識がなければ動くこともしない状態だった。

同じ部活の同級生が始めたメイク。置いてきぼりにあった気がした

メイクをしなかった要因の一つに、中学生の時に感じた苦手意識がある。
私が中学生だったときに、同じ部活の同級生がメイクをし始めた。その姿を見て、一緒の立ち位置にいたはずの同級生と自分との間に絶対的な距離感が生まれ、置いてきぼりにあった感じがした。

急に仲が良かった友達の大人びた姿を見て、外見はもちろん内面も自分の知らない人になったような感覚で、一種の恐怖感を覚えた。
その時からメイクを無意識に敵視してしまっていたのかもしれない。

アイシャドウ、アイライン、アイブロウなど名称は聞いたことはあるけれど、具体的に何をどう使えばいいのかがわからない。どこのメーカーの物を買えばいいのかがわからない。お金に余裕があるわけでもないから、初っ端からお高いメイク道具を揃えることはできない。

顔を施す手順を調べてみても始めて耳にする単語ばかりで、興味がないことを1つ1つ理解して進めることが苦痛で投げ出したくなった。
それと同時に、周りのメイクをしている多くの人はこんな面倒臭いことをしてきているのかと感心してしまった。

思ったよりも値段が高く、慣れないと上手くできない。メイクの難しさ

実際にメイクをするようになって感じたことは沢山ある。
まず、メイクをすることに慣れていないから上手くできない。
苦手の定番、アイラインが上手く引けず、ガタガタで左右同じように引けた試しがない。
今でも上手く引けないので、アイラインは引かないという失敗をあらかじめ回避する選択肢を取っている。

ファンデーションの適量がわからず、友達から顔白いけど大丈夫と言われてしまった。
自分では上手にメイクが仕上がっているつもりでいるから、どこが変か気づかなかったし少し凹んでしまった。親にも私のメイクを見て、おかめ納豆の顔みたいになっているよとダイレクトな悪口を言われて傷ついた。

次に、メイク用品は思ったより値段が高い。
メイク用品には半年という消費期限が存在することをネット情報で見たことがある。
毎日使っている物だったら使い切れるかもしれないが、あまり登場しない物だと、数回しか使っていないのに気づいたら消費期限が過ぎてしまっている。

自分の中の定番の物、気分を変えるための準レギュラーの物、パケ買いしてみた物など色々なアイテム、道具を揃えていくと必然的にお値段が張ってしまう。
安いと謳っているメイク用品も、1000円以上は軽く超えてくる。私の金銭感覚が世間とずれているかもしれないが、1500円、2000円の商品をバンバン買う程のお金は持ち合わせていない。

最後に、自分に合う物がイマイチわからない。
気に入った色の口紅を購入して使ってみたが、驚くほど似合わなくてビックリした。
色の好みがドンピシャだから捨てるに捨てられなくて、再挑戦をするもののやっぱり似合わない。

質感も色も好みなアイシャドウを見つけて買ってみたはいいものの、付けてみたら目が痒くなって仕方なしに捨ててしまった。
自分が似合う色は人それぞれ持っているとは思うが、それを無視してでも付けたい色や惹かれてしまう物は存在し、その折り合いがなかなかつかないことが悩ましい。

苦手意識があった私は今、好きな自分でいられるためにメイクをしてる

商品を買うにあたって、ネットでゴリ押しされている商品何回か買ったことある。
クチコミや評価が高かったぶん、期待も高まっていた。
しかし、実際に使ってみたところ、こんなものかと期待値を超える商品とはなかなか出会えない。
やはり、自分に合う物かどうかは、お金と労力を費やすしか自分に合うものとは出会えないと改めて感じた。

メイクに対する不満や苦手意識をつらつらと綴っているが、今の私はメイクをするのが楽しい。メイクを始めてからどんどん興味が湧き、自分流で自分のためにメイクをするようになった。

今現在メイクをして仕事に行く明確な理由は、自分を鼓舞し、自分の好きな自分でいられるようにするためだ。
パッリとした発色のリップ、キリっとした眉毛、マットなテイストのアイシャドウ。

似合う似合わないは抜きとして、メイクの力を借りて自分の機嫌を自分で取っているのだから、周りがとやかく言う権利はないし筋合いもない。
メイクの殻を纏うことによって少し強くなり、理想の自分を演じられる気がする。
だから私はメイクをする。