コンビニで昔からある梅味のガムを買ってみた。懐かしいなと思いながら、ガムを食べるとだんだん味がなくなっていった。

それはなんだかあの頃に始まったわたしの終わらない恋ににていて、あの恋は、はじまってもないし、終わってもなかったと気づいた。

SNSを通じて、みつけた恋。彼と話すのが楽しくて、落ち着けた

わたしの終わらない恋といえば、中学3年生の時にネットで知り合った彼のことを思い出す。
当時はまだガラケーの時代。流行っていたSNSでネットサーフィンしていた。

サッカーすきですとプロフィールに書いてある好青年の8歳上の男性に目がとまり、掲示板で声をかけた。たわいもない会話。当時、わたしは、家庭の中にいることが苦しくてたまらない状態で、だれでもいいから楽しい話をしてくれる人と会話がしたかった。

家にいると、部屋の外から繰り広げられる嫌な雑音、嫌な言葉、耳にもしたくない言葉。男女の中で飛び交う汚い姿やそのさまをみるのが辛くて、自分の身にふりかかるのではないかと気がかりで、気持ちが落ち着かないことが多かったからだ。

一人っ子のわたしは、せめて家にいるときぐらい気持ちを切り替えられる相手がほしい、わたしのことを知らない誰かとたわいもない話をして心を落ち着かせたい、なんて考えていて、必死に掲示板で話をしてくれる人を探していた。その人は優しくて、話をしているだけで、楽しかった。いろんな家庭のいやなことを忘れられたのがなによりもよかった。

窮屈でたまらない日々、SNSで知り合った彼だけが頼れる存在だった

わたしと彼は、メールから電話をする仲になり、わたしから電話で告白した。わたし達は、遠距離恋愛というよくわからない形になっていて。歳が離れすぎていて、住む場所も違うわたし達は、このまま直接会うことは二度と会うことがないかもしれない、とわたしは、なんとなく思った。

それが的中し、彼とは1度も会うこともなく、わたし達の関係は終わった。会おう会おうとお互い思っても、それっきりで金銭面でなにもできない私。たぶん彼は、就活でいそがしくて、社会人なりたてでそんな時間も余裕もない。

それとも、彼女がいたかもしれない。真相は全くの闇。

その間、わたしの家庭環境はどんどんひどくなっていて、遠い人には助けを求められない、メールや電話じゃたりないほど、心が寂しかった。もうこの彼には頼れない。そう思った。

結婚してから連絡をとってみたけど、昔と変わらない約束だけの関係

それからわたしは、とびきり素敵な別の彼を見つけて、結婚まで進んだ。結婚後、ひさしぶりにその人と連絡をとってみると、「友人としてタピオカを飲みに行こうか」と会おうとなったが、なかなか会わないわたし達。

たぶん、この恋は終わらない。終わる終わらないじゃなくて、終わらせないでいるぐらい不器用だったんだ、と気づく。そもそもはじまってなかった、と考えると、それは終わらない恋になるからだ。

それはまるで、噛んでも噛んでも味がしないガムを永遠と口の中で噛んでるのと同じみたいな感覚に似ている。