「青春」という言葉を聞いて真っ先に思い浮かぶのは、夏の吹奏楽コンクールだ。
全国の吹奏楽部員が一年かけて練習するたった15分間の舞台。15分間には、青春が詰まっている。
先輩たちの演奏はキラキラしていて、吹奏楽コンクールは私の憧れに
私は中学受験をして、中高一貫校に入学した。小学生の頃からずっとピアノを習って音楽に慣れ親しんでいたことから、「なんとなく吹奏楽部かな」という理由で吹奏楽部への入部を決めた。担当楽器は希望のサックスにはなれず、パーカッションになった。
強い意思なく入部したことや、希望の楽器を担当できなかったこととは裏腹に、練習はきつかった。ほとんど毎日練習があるし、高校3年生まで在籍している部活で、中学1年生の私は全然活躍できなかった。入部した直後、夏の吹奏楽コンクールに向けて練習する先輩を横目に、自分は机に敷いた毛布を叩いてひたすら基礎練習をした。
練習中に聴こえてくる先輩たちの吹奏楽コンクールのマーチは、すごくキラキラしていて楽しそうだった。「いつか私も絶対にコンクールに出たい」と思った。
最後のコンクールに出場するため、練習と受験勉強に明け暮れる日々
中学1、2年生の間、コンクールメンバーを横目に基礎練習をしていた私は、中学3年生でようやくコンクールメンバーになることができた。
初めて出場できたコンクールの舞台。いつもの演奏よりも緊張感集中力が一段と高まり、夏の練習や思いすべてを15分の演奏に込める。憧れていた舞台は、思った以上に素晴らしい空間だった。
地区大会を抜け、県大会に進んだが惜しくも銀賞。高校1年生、高校2年生もコンクールメンバーとして演奏し、県代表・東関東大会出場を目指したが毎年敗れてしまった。
高校3年生は大学受験があるため、コンクールに出場するかその前に引退するかは各自で決めることができる。東関東大会出場が諦められなかった私は、受験勉強と両立しコンクールに出場した。毎日練習と勉強に明け暮れ、体力は限界だった。それでもみんなで音楽を作るのはすごく楽しかった。
県大会当日、悔いなく演奏できたが結果は銀賞。
最後まで頑張る力、友情、集中力。吹奏楽で身に付いたものはたくさんあったが、目標の東関東大会には届かなかった。コンクール会場の近くの公園で、涙が枯れるまで泣いた。私の青春は終わったと思った。
社会人になった今も大会出場を目指し、青春はまだまだ続いている
その後大学に進学した私は、大学生や社会人向けの吹奏楽団に入り、今でも吹奏楽を続けている。練習は月に2回ほどだ。吹奏楽を中心に生活していた中高時代の環境とはまったく違うが、私は吹奏楽を楽しんでいる。
卒業してからは吹奏楽コンクールで母校の後輩を応援する立場であり、そして実は今も私は社会人・一般部門でコンクールに参加している。
今年は新型コロナウイルスの影響で無観客だったが、吹奏楽コンクールが開催された。結果は惜しくも銀賞で県代表になることはできなかったが、私は今でも東関東大会出場を目指している。私の青春はまだまだ続いている。