小学生から憧れた都会暮らしは社会人になるタイミングでやっと叶った

私は現在社会人2年目。就職を機に地元を離れ、一人暮らしを始めた。
地元は家の周りが田んぼで囲まれていて、主な移動手段は車。テレビで流れている場所は行きたくても時間とお金がかかる都会の商業施設ばかり。小学生だった私は次第にテレビで流れるような都会に住みたい、と思うようになった。

しかし、小学生にそれが実行できる行動力もお金もなく、親に支えられながらここで暮らすしかなかった。そのため、自分の力で一人暮らしをしたい、とも思うようになった。
だが、中学生、高校生になっても状況は変わらず、大学こそは、と地元から離れた学校を志望するも受験に失敗し、地元の大学へ通うことに。
次こそは、と就職活動を関東圏にしぼり、見事内定をもらい、社会人になるタイミングでようやく地元を離れて一人暮らしができることになった。

一人暮らしができると決まった私は浮足立っていた。
部屋の間取りはどうしよう。家具はどんなものがいいかな。新しい趣味を始めてみようかな。そんなことを四六時中考えながら準備を進めた。日付も、いち早く一人暮らしをはじめたくてスケジュールを詰めに詰めて引っ越しをした。
こうして始めた一人暮らしはとても楽しい。今でも一人暮らしの快適さを味わい、自分の力で生活することの楽しさをかみしめながら生活している。

実家に帰る道中。観光客のようにあたりを見渡して感動した

そんなこんなで一人暮らしを楽しみながらも、帰省することが決まるとわくわくする。
カレンダーを見てカウントダウンをはじめる。持ち物リストを作り、買い出しに出かける。新幹線や電車の時間を確認しチケットを取る。できるだけ早く到着できるようにスケジュールを組む。家族と頻繁に連絡を取る。
準備をしている時間も一人暮らしをしているとき同様にとても楽しい。

最寄り駅に着けば、これまで見てきた当たり前の景色に懐かしさと納得を覚える。
駅前はこんな景色をしていた。商業施設はテナントが変わり雰囲気も変わったな。昔通っていた学習塾は今も健在。こんなところに新しくお店ができたんだ。
実家に着く道中も観光客のようにあたりを見渡しては、逐一感動する。

家族と会えば話は尽きず、兄弟とは気づくと日をまたいでいることもしばしば。
洗濯物には懐かしく、安心できる香りがあり、眠りに着けば一瞬で、これだ、としっくりくるものがある。車に乗ってハンドルを握れば、昔の感覚はすぐに呼び戻され、違和感なく運転している。そんな自分に違和感があるほど自然に。

これが「ふるさと」か。離れて初めて深く理解できた言葉の意味

地元に帰るだけでこんなにも多くのことを体験していたなんて、と書いてみて驚いている。どおりで帰省すると時間は一瞬で、気づけば自宅へ帰る電車の中のはずだ。

自宅へ戻る道中で、窓から見える景色を見ながらふと考える。
薄情なくらいに早く出たいと思っていた地元なのに、帰省すると楽しくて、家族の大切さや景観が美しくて、安心できる場所になっている。自分の居場所が自然と作られている。
こんなにも心が動かされていることに驚いている。

これが「ふるさと」なのか。
離れてみて初めて感じたこの感動や感覚から、言葉の意味を初めて深く理解したような気がする。

私のふるさと、それは地元。