平和で退屈な夏休み。特別なことを起こしたくて、コンビニへ駆け込んだ

今年の夏は、社会人になって初めての夏だった。
生まれてこの方、夏といえば夏休み。永遠に続くかと思うほど長くて、あれもこれもできる、なんでもできると思える季節だった。
でも、今年の夏休みはたったの5日。カレンダーに丸をつけた夏休み初日が近づくにつれ、やりたいことリストが増えていく。
故郷に住む家族にも会いたいし、本棚に溜まりに溜まった本を読みたいし、夏っぽいこともしたい。
あれもこれもしたいけど、どれからしようか。胸が躍る。
でもいざ夏休みが始まってみると、何もできない。結局、新型コロナウイルスの感染状況が拡大しすぎているので帰省は中止。誰かと会うのもはばかられるし、どこかにお出かけするわけにもいかず、ゴロゴロとTwitterのタイムラインを見ていたら数時間が経過してしまい、焦る。何か夏っぽいことをしなければという焦りから、「おうち時間 楽しみ方」で検索してみる。
「お祭りごっこ」がピンときた。浴衣を着て、焼きそばとか唐揚げとかたこ焼きとか、お祭りみたいなご飯を準備して食べる。夏っぽくて最高じゃない?
「最高じゃない??」と呟きながら立ち上がるのが面倒くさくて、ツイッターのタイムラインを徘徊してしまう。そしたら、「30歳を過ぎて、仕事もプライベートも退屈で飽きてきた」というツイートを見つけた。読んだ瞬間、「自分もそうなりそうだな」と思った。
朝起きて、SNSでバズっているものをなんとなく追いかけて目を覚まし、仕事して、終わったらSNSでバズっているものをなんとなく追いかけて夜が更けて、眠りに入る。平和で退屈な生活。
ああでもなんか、これじゃいつもの休みの日と変わらないなあ。夏休みといえば、特別なことがたくさん起きるはずなのに。
いや、特別なことを起こしてくれる人がいないなら、自分が特別なことを起こせばいいのだ。面白いことをしてくれる人がいないなら、自分が面白いやつになればいいのだ。
私はコンビニに行き、クリームチーズとビスケット、それからブルーベリーと桃、バニラアイスクリームを買った。ビスケットを袋に入れてバリバリに割ってクリームチーズと混ぜ、透明のコップに入れる。その上にバニラアイスをこんもりとのせ、さらにはつやつやの桃をどかん、ブルーベリーをごろごろとのせた。特製パフェの出来上がり。
見た目は不恰好だけど、好きなものを好きなだけのせた、私にぴったりのパフェ。
これが、自分で作った、今年の夏の特別な思い出。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。