わたしは根っからのオタクだ。アイドルオタクだ。
本腰を入れ始めたのは、自分で使えるお金が増えた高校生くらいから。
Twitterで同じグループを応援している子と繋がって、オーディション番組の感想ブログを綴ったり、デビューが決まれば一緒にライブに参戦したり、遠征したりもした。

共通項がある人との会話は楽しい。突然の芸能活動休止で1日中泣いた日も、応援しているアイドルが公開恋愛を始めたりしてショックを受けた日もあった。
だけどアイドルのおかげで、沢山の素敵なライブパフォーマンスを見ることが出来たし、今は違う界隈で生きていても、まめに連絡を取るような気の合う友達に巡り合えた。

学生時代はオタクを隠していたけど、社会人になって隠すのをやめた

同じ時間軸で、学生時代のほとんどすべてを女社会で過ごしてきた。
部室では人目を気にせず練習着に着替えたし、サークルでお酌のマナーを教えてくれたのも、バイト先で接客を教えてくれたのもみんな女の先輩だった。

どこのコミュニティでも、口を開けばやれ「最近付き合った彼氏ともうヤったか」だの「社員がウザい」だの。酒の席なんかは本当にひどくて、もう下ネタと愚痴以外話すの禁止になってるのか?というくらい、ひとしきりその話題で持ち切りだった。
その時はコミュニティでうまく生きていくために、ある種の同調圧力みたいなものを感じながらも、何となく話を合わせて相槌を打っていた。

陰に隠れてオタクもしていたし、楽しい話題はオタクとすればいいと思っていた。
そんなのは学生時代の悪しき遺産として、もうなかったことにしておこうと思った。

社会人になったわたしは、オタクを隠すのを辞めた。
理由は簡単で、「推し」という言葉がメジャーな存在になり、アイドルオタクが市民権を得たからだ。この令和という時代なら、アイドルが会話のきっかけにいろんなコミュニティが築けるだろうと思った。
もちろん自分の好きなアイドルを押し付けるつもりはない。深い話はTwitterでオタクたちと議論すればいいことだから、あくまで会話のきっかけになれば、と。

何気なく出した有名アイドルの話題。上司に言われた言葉に驚いた

ただ社会人になってからも、仕事終わりの会話のタネは上司に対する不満だった。
仲良くなってきたと思ったら、今度はマッチングアプリで知り合った人とのワンナイトラブの話。あれ、なんかこれ学生時代に耳がタコになるくらい聞いた会話と、なんら変わりなくないか……?

前の職場で、わたしが当時応援していた有名アイドルを話題に出したことがある。
「最近新曲が出て~~」と、なんら当たり障りのない、なんてことない会話の一節。
だけど忘れもしない。わたしは年上の上司からと「いつまでもいい年してアイドルなんて」と一蹴されたのだ。

わたしがそのアイドルを好きなことを認識しているうえで、そんな風に跳ね返されるとは思わず、正直びっくりしてしまった。
そのひとは、そんな自分の発言が相手を傷つけているとは思わず、やれ仕事が多すぎるだのといった話題で、会話のイニチアチブを簡単に奪っていった。
その時の上司にこの場を借りて、怒りをぶつけさせてほしい。

誰かを応援する心に年齢は関係ないだろ!!!
あと、当時わたしは全然ピチピチギャルだったからな!!!

多様化が進む今、下ネタと愚痴に頼ったコミュニケーションは時代遅れ

自分の気持ちを開示することで、相手の気持ちを引き出す、というのはわかるが、みんなそんなに性事情と不平不満でしか共感しあえない生活を送ってないのか?と悲しくなってくる。
別に毎日楽しく生きよう!とか、そんなことが言いたいわけじゃない。
もちろん生きてれば辛いこともあるし、不満もある。だけど探してみればいいことだってあるはず。

わたしはただ楽しい話がしたいだけなのだ。楽しいことや嬉しいことを共有する方が有意義な時間を過ごせると思っているだけなのだ。
ただ、わたしのアイドル以外の趣味で言えば、好きな小説家や映画監督の話をして、それに対してみんなが共通認識を持って、和気あいあいと盛り上がれるのだろうか?と疑問に思っている。

わたしの趣味のなかで、世間的にも盛り上がっていて、一番フックになるジャンルがアイドルというだけで、別にそれ以外に楽しい会話ができるならそれでいい。
いまこれだけ多様化が進んでいて、みんな興味を持っていることがひとつくらいはあると思う。もしなかったとしたら、昨日食べたご飯の話だっていい。それだってひとつのトピックスだ。
下ネタと愚痴に頼ったコミュニケーションは、もう時代遅れな気がする。