今年の夏は、新たな趣味を見つける!
そう決めた私が目を付けていたのは「釣り」。ある夏の日の早朝、さっそく友人2人を誘い出し、ど素人の女3人衆で意気揚々と港へ出発した。
狙うは「カラフトマス」!この時はまだ「本当に釣れたら奇跡だなぁ」とぼんやり考えていた私だが、数時間後には竿にかかった魚と格闘している。
私が本エッセイで取り上げるのは、そこまでのあらゆる場面で出会い、力を貸してくれた、さまざまなおじさん達とのコミュニケーション録。

釣りスポットに駐車場所、エサセットも教えてくれたのはおじさん達

まず港へ着くと、思った以上の人混み!さすが人気スポット。
どうしようか、と迷っていたところ、駐車場近くで海を眺めていたおじさんと出会った。
おじさんは小さめのリーゼントヘア、というより小さすぎてポンパドールにしか見えなかったので、内心「ポンパおじさん」と呼んだ。
ポンパおじさんが別の釣れるスポットを私たちに教えてくれたので、そのままそこへ移動することに。

次のスポットに着くが、今度は駐車場がない。またもうろうろ探し、たまたま通った短パンのおじさんに話しかけてみる。
すると、短パンおじさんは近くに小さな駐車場があるが埋まっていることを教えてくれ、「可愛いお姉さん達だから特別にウチの敷地に停めていいよ!」と、「駐車禁止」と書かれたコーンをどけてくれる。お言葉に甘えて車を停めさせてもらい、そのあともエサのセットの仕方や釣れそうなポイントを教えてもらった。

おじさん達の優しさに囲まれながら、見よう見まねで釣り開始

短パンおじさんの「あの人たちに笑顔で挨拶して、間に入れてもらい!」というアドバイス通り、もじもじしながら挨拶をして釣るポイントへ。とりあえず、3人とも見よう見まねで竿を投げてみる。
待っている間はつまらなそう、と思っていたが、そこにいる魚の姿を想像しつつ竿を投げるだけで、意外にも時間を忘れるくらい没頭できる(笑)。
しかし、いまいち遠くに投げられずにいた私に、近くのおじさんがコツを教えてくれた。よく見るとそれはポンパおじさんだった。
わざわざついてきてくれてたんだ……優しい……!

教えてもらった通りにひたすら投げ続けていると、別のおじさんが「そこに群れがいるよ、見える?」と話しかけてくる。
ベージュのつなぎを着て、長靴をはいているおじさん。それからは、群れが通るたびに声をかけてくれた。
しかし私は毎回見逃し、「また見えませんでした……!」「ハッハ!」という会話を何度も繰り返した。ずっと同じ1ラリーの会話なのに、なぜか毎回笑っちゃう(笑)。

最高の釣りデビューは出会ったおじさん達のおかげ。本当にありがとう

そして、私の竿についにヒット!
焦る私に、ベージュおじさんが「合わせて合わせて(竿を立てて)!」とアドバイス。「合わせるって何ですかー?!」と叫びながら必死でリールを巻き、いつのまにか横にいた、ウエストポーチを身に着けたおじさんも「いいよいいよ!」「今巻いて!」と応援。見事、立派なカラフトマスをゲット!
すかさずポンパおじさんが回収し、そのまま魚を締め、あれよあれよと血抜きや内臓処理までしてくれた。
釣れた時の処理についてはなにも調べていなかった私たち……。ポンパおじさんにお礼を言いつつ、鮮やかな手さばきをただただ見つめることしかできなかった。

こうして見事3匹もクーラーボックスに収め、私たちの初めての釣りは大成功で終わった。
改めてお礼を伝えることができない代わりに、ここに書かせてもらいたい。
出会ったおじさん達、素敵な経験させてくれて本当にありがとうーーー!
最高の釣りデビューを飾らせてもらい、また人の温かさに触れ、いまだに余韻に浸っている私である。