小さな憧れは、何かを始める時の大きな原動力になるのだと思う。
私はもともと文章を書くのが苦手だったけれど、憧れの人の存在があったからこそ、今エッセイを書けるようになったのだ。自分の言葉で何かを表現することは、「かがみよかがみ」にエッセイを投稿している今でも骨が折れる。
付け加えるなら、高校時代でもっとも私が苦手だった問題は、大学受験対策の小論文。それでも国語の小説読解は楽しいし、一番の得点源。小説を読むたびに、いつか私も人を楽しませる文章を書いてみたいと思っていた。
そんなわけで、文章は高校時代の私にとって、天敵でもあり、目標でもあった。だからこそ、文章を自分のものとして操ることができる人が、私の憧れの人になったのはある意味必然だったと思う。このエッセイでは、私の憧れの人を、仮にふぶきさんと呼ぶ。
ふぶきさんの作品を読み、キャラの魅力が描かれていて衝撃を受けた
私とふぶきさんの出会いはインターネット上で、私がふぶきさんの小説を見つけたことだった。それは私の大好きなゲームのキャラクターを題材にした小説、つまり二次創作である。
当時の私は、普通の小説より、大好きなゲームのキャラクターの魅力を描く二次創作の方が好きだった。多くの二次創作に触れるうちに、自分でも二次創作を書きたいと私は思うようになっていた。
しかし、自分の下手な文章でキャラクターを語るのは、なんだか好きなキャラクターが薄っぺらくなりそうで、私は投稿をためらっていた。その時、私はふぶきさんの作品と出会った。
ふぶきさんの作品は社会問題と絡めて私の大好きなキャラクターを魅力的に描くと同時に、続きが気になるストーリーを持っていた。自分の言葉を発することをためらう私が、とても小さく感じるほどに。
二次創作は元になる作品の著作権を侵害しているのではないか、などなど賛否両論あるものだ。そうだとしても、私がためらってしまったゲームのキャラクターの好きなところを自分の言葉で綴り、作品を続々と投稿できるふぶきさんは当時の私が目指していた姿だった。
だからこそ、私はふぶきさんに憧れ、インターネット上で文章を書くようになり、今に至る。
縁があり目標にしている作家さんと話した時、衝撃の事実を打ち明けられた
なぜプロの小説家さんではなかったのか、と今の私なりに考えてみると、当時の私は自分の文章に全く自信がなかったからだと思う。プロの小説家さんのゼロから物語世界を作る力があるという才能の輝きがまぶしくて、自分がプロになるのは無理だと思っていたのだろう。
だから、ゲームのキャラクターについて語りたいというささやかな夢を叶えることが、当時の私の目標になっていたのだろう。
その後、さまざまな縁があり、私は光栄にも、ふぶきさんと一緒にオリジナルの物語を制作することになった。その時、私はふぶきさんから衝撃の事実を打ち明けられた。
私が大好きなふぶきさんの二次創作は、ふぶきさんが体調を大きく崩していた時に書いていた、ということ。投稿の順調さとは真逆の舞台裏に驚くと同時に、私は納得した。
ふぶきさんに憧れたからこそ、苦手だった文章に向き合う勇気を得られた
ままならない日々の中でペンを持つことを諦めなかったからこそ、ふぶきさんの文章は、私の心を捉えて離さなかったのだと。この打ち明け話を私が聞いていた時には、私にとってふぶきさんは、いつか追いつきたい憧れから、世界の片隅で精一杯生きぬく仲間になっていた。
それでも、私にとってふぶきさんが大切な存在なのは揺るぎない。ふぶきさんに憧れたからこそ、私は苦手だった文章に向き合う勇気を得られたのだから。
私がふぶきさんを尊敬するようになった理由は、他人からすれば、とんでもなくばかげているのかもしれない。ふぶきさんの文章によって歩き出せた私は、インターネット上の文章が持つ力を信じて、今日も私はエッセイを書いているのだ。