かがみよかがみでは、「私を変えたひとこと」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。
今回は、かがみすと賞1本、編集部選として2本のエッセイをご紹介いたします。
◆かがみすと賞
AAカップでまっすぐな体のわたしが、ヌードモデルに挑戦したわけ
(スミレ伯爵)
自身の胸に合う商品が少なく、下着屋さんに「お呼びじゃない」「女じゃない」と言われているような気持ちになっていたというスミレ男爵さん。ある日出会った店員さんとの会話をきっかけに、ヌードモデルに挑戦するまでの心情が丁寧に描かれたエッセイです。特にこの言葉には強く心を打たれました。
今世の中でもてはやされている美しさにあてはまらなくても、堂々としたいから。
男の人の前にさらけ出すこともない体を、写真を撮られることで見ず知らずの人たちにさらす勇気がいらないわけがありませんでした。けれど、わたしは応募しました。
エッセイ全体を通して、スミレ男爵さんの葛藤が細やかに、まっすぐに描かれていることが印象的でした。自分の体型にコンプレックスを持つ人だけでなく、何かを変えたいけれど一歩踏み出せない、そんな渦中にいる読者と手を繋ぎ、共に一歩踏み出す勇気を与えてくれるような、素敵なエッセイです。
◆編集部選
「君を君の一番の優先順位にするんだ」。メキシコ人の口説き文句に心動いた(いづみ)
アプリで知り合ったメキシコ人の男性とデートをしたという、いずみさん。体の関係へのお誘いを受けたとき、彼に掛けられた言葉について綴ってくれました。
ねえ、僕の目を見て、君は絶対に大丈夫だよ。今、なにもかもが上手くできていないとおもうだろう? でも、君は上手くいくよ、君を君の一番の優先順位にするんだ。僕を信じて、約束するから。
一夜限りの関係に対して、どこかひけめを感じてしまう風潮が根強い中、「君を君の一番の優先順位にするんだ」という彼のストレートな表現。体の関係に限らず、自分の仕事や遊び、やりたいこと。臆せずに、自分の心の声に従うことを、私たちはいつのまにか忘れてしまっているのかもしれない。そんな気づきを与えてくれる、素敵なエッセイでした。
デートはパチンコ。ギャンブル好きのクズ男と付き合ったら自分が好きになった話(りんりん)
自己肯定感が低く、自身の容姿に対して後ろ向きな発言も多かったという、りんりんさん。新卒時代に付き合った彼の言葉をきっかけに、徐々に気持ちが変化していく様子が綴られます。
私は当時、自己肯定感が低かった。そんな私に対して、彼はこういったのだ。
「俺の彼女なんだから自分を卑下しないで」と。
今になれば「どの面下げて言ってんだ?」と思う。しかし、当時の私にはそれがすごく嬉しかった。
彼からのひとことの前後での変化が文面からビシビシと伝わってきて、明るい読後感に元気をもらいました。また、踊るような文体に最後まで一気に読み切ってしまう、魅力たっぷりなエッセイでした。
以上、「私を変えたひとこと」のかがみすと賞、編集部選の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。現在募集中のテーマはこちらから。みなさまからのご投稿、お待ちしております!