かがみよかがみ編集部では、「からだと視線」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。

今回は、かがみすと賞1本、編集部選として3本のエッセイをご紹介いたします。
どのエッセイも読み応えのある、心に迫る作品ばかりなので、ぜひ読んでみてくださいね。

◆かがみすと賞

欠点だと思っていた毛や体型。実は「魅力的」に輝かせてくれている:プー

パートナーの方との愛が溢れる内容に、「全世界に送りたいエッセイ」という感想も寄せられました。読みやすい軽やかな文体でありながら、心情の揺れが丁寧に綴られています。プーさんの顔のうぶ毛を眺めた、パートナーの方の言葉には、思わず一緒に涙が出てしまいそうなほど温かい気持ちになりました。終盤、妹さんとのやりとりへの着眼点も秀逸です。「毛」をネガティブに捉えてしまう気持ちを、一緒に抱きしめてくれるような、そんな読後感に包まれる素敵なエッセイでした。

◆編集部選

日が照る海岸、大好きな彼の前で、Tシャツを脱ぐことができなかった:山口宇海

「トレーの上に置いたレモンサワーは、すでに薄まって水割り状態だった」

冒頭の一文から、山口さんの世界に引き込まれるエッセイです。まるで映画のワンシーンのような、夏の海の情景が浮かんできました。回想としてエッセイが進んでいく構成や、好きな人の前で水着姿になることへの葛藤の描写も追体験しているような気持ちになりました。

読後感も爽やかで、前向きなパワーに読んでいる側も一緒に魔法をかけてもらえたような気持ちになりました。

無駄毛まで愛して生きていく。バイバイ、容姿至上主義の私:千尋

今回の「からだと視線」へは、毛への葛藤が綴られたエッセイが数多く寄せられました。その中でも千尋さんのエッセイは、歯切れよく芯の強さを感じさせる文体ながら、好きな人への好意が薄れていく様子や、毛へのまなざしの変化を繊細に感じました。現在も脱毛に通っている千尋さん。毛を残す/残さないの判断を、自分の軸で選んでいく姿がとてもかっこよく、背筋が伸びるような読後感のエッセイでした。

「傷の舐め合い」は悪いこと?肌に劣等感がある彼とだから想い合えた:大久保遊花

ニキビ跡や体毛の気になる大久保遊花さんと、アトピーに悩む彼。日々向けられる視線や言葉に悩み傷ついてきたという共通点が、2人の関係を深めていく様子が丁寧に綴られたエッセイです。武器にも、救いにもなる「言葉」。その力の大きさにも、改めて身が引き締まる想いになりました。冒頭の一文から最後の締めの一文まで、大久保遊花さんの世界線に引き込まれっぱなしの、素敵なエッセイでした。

以上、「からだと視線」のかがみすと賞、編集部選の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。現在は長濱ねるさんを特別審査員に迎えた【長濱ねる賞】わたしの見せ方、見られ方でエッセイを募集しています。みなさまからのご投稿、お待ちしております!

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