かがみよかがみでは、「結婚、どう思う?」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。
今回は、かがみすと賞1本、編集部選として3本のエッセイをご紹介いたします。
◆かがみすと賞
アラサーで同性を好きになる「重さ」。結婚はできなくても「しあわせ」は手に入れられる(パック寿司)
とある女性に惹かれ、付き合いたい、と思うようになったというパック寿司さん。「『わたしを恋人にしてほしい』そう思ったとき、第一に考えたのは『結婚』のことだった」と想いを綴ります。
アラサーで同性を好きになる重さを考える。 たとえば告白がうまくいって、彼女と付き合ったとして。 その時点でわたしたちは「結婚」を諦めることになる。 28歳。いい年齢なのはわたしが一番よく分かっていた。
同性婚が認められていない日本において、相手を大切に思うがゆえに想いを打ち明けることができずにいたといいます。法制度の不備がもたらす状況に、読んでいて憤りを感じ、また胸が締め付けられました。
想いを抱えながら1年が経ったとき、ふと同性同士の結婚式が県内で行われたニュースを見て、「なにか、目の前が開けたような気がした」というパック寿司さん。現在はパートナーの方と一緒に過ごしていると綴ってくれました。
それから少しして、わたしは、彼女に告白した。 28歳でふたり、「普通の結婚」の道を捨てた。 お互いに勇気のいる選択だった。 わたしは、この先に「普通にしあわせ」な日々があることを祈っている。
愛する人と「普通の結婚」ができない現状と、その中でのお二人の決意。今一度、すべての人が「結婚」の選択肢を持てる社会になってほしいと、強く強く思わされたエッセイでした。
◆編集部選
母をつまらない「良い妻」「良い母」にしたのは「結婚」なんだと思った(あいむす)
家族のことが大好きだけど、結婚に抱くイメージは「『自分』や『自由』なんかない」とネガティブだったというあいむすさん。結婚に前向きになれない理由を掘り下げていくと、そこには夫を立てる「良い妻」で「良い母」である自身のお母さんを、心の中で「つまらない人」だと思っていたことがあったといいます。
反抗期の気概も相まって、私は母をなんだかつまらない人だと思った。 そして、母をこんなつまらない「良い妻」「良い母」にしたのは、「結婚」なんだと思った。 私も「結婚」したら、母のようになるべきなのか。そんなの嫌だ。「結婚」なんてしたくない。
エッセイの後半では、今までの「結婚」にまつわる想いは、どれ一つをとっても「自分の結婚」ではなかったと、気づきを綴ります。自身が「結婚」を経験していないのにもかかわらず、確かに偏見を持ってしまったり、頭でっかちになりすぎていたかもしれないなと、ハッとさせられる素敵なエッセイでした。
「世界で一番大好きだよ」と彼が言った。私が世界で一番好きな母より、好きになれるかな(くっきー)
幼い頃、「まま、世界で一番大好きだよ」とお母さんに伝えると「ままもよ。大きくなって、ままより好きな人ができたら結婚しなさいね」と返ってきたというくっきーさん。エッセイでは、年を重ね27歳になり、年始に恋人が実家に遊びにきたときのことが丁寧な描写で綴られ、思わず泣きそうになりました。
まま、私にも大好きな人ができたよ。でも、ままより大好きかどうかって聞かれると分からないよ。この先もずっとそんな気がするよ。
大好きな人のいる温かさや、お母さんとの関係。エッセイの最後の一文まで、愛の詰まった、心温まるエッセイでした。
結婚してても恋愛はする。夫以外とは性感染症と避妊に気をつける(ゆりりん)
読んだとき、「こんな結婚のかたちもあるのか!」と驚いたエッセイです。
私たちは結婚する前も後も、離婚して再婚した時も、ずっと人生のパートナー。(中略) だから結婚してるから恋愛しないなんてこともないし、別の人とセックスする時は性感染症と避妊に気をつける。結婚している状態で恋愛するのに「不倫」の呪縛があるならためらわずに「離婚」を選ぶ。
自分自身に合った関係性を選び続けているゆりりんさん。エピソードに引き込まれ、一気に最後まで読み切ってしまいました。改めて、「結婚」という制度に何を感じ、どう捉えるかは本人とパートナーが決められる、自由なことなのだと感じました。力強く読みやすい文体も素敵な、読み応えのあるエッセイでした。
以上、「結婚、どう思う?」のかがみすと賞、編集部選の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。現在募集中のテーマはこちらから。みなさまからのご投稿、お待ちしております!