24歳にもなって、未だ身構えてしまう言葉、それが「就活」だ。専門学校で好きなことを学び、「やりたい仕事」が分かっていた私は、就活の入り口には苦労しなかった。
旅行会社のカウンターで働きたい!オリンピックに関わりたい!旅行を通してたくさんの人に新しい世界を見て欲しいと熱意を持っていた。
オリンピックのスポンサーの旅行会社を志望して、3社あるうちの1社に入社できた。とても幸運で、恵まれていた。
私が就活における今の社会や世の中への疑問を感じたのは、この後だった。

2度目の就活をスタート。「専門卒」の私がぶつかった学歴の壁

入社から3年後、新型コロナウィルスの影響で旅行業界の業績は、見ての通り転げ落ちていった。勤めていた店舗の閉店が急遽決まり、会社全体でも希望退職者を募集し始めた。
このとき私は人生経験の一つと捉え、"大好きな旅行"に関わる仕事、そして旅行業界を一度離れる決意をした。ここで私の2度目の就活が始まった。再スタートだ。
改めて旅行会社以外の求人を見る。新卒のときには目もくれなかった沢山の会社名が並んでいた。23歳という年齢もあってコロナ禍でありながらも、求人はそれなりにあった。転職活動に不安を感じていた私はほっと安心した。
再スタートに舵を切り直し、良さそう!と思った事務や人事の仕事。内容を読み進めていくと……条件には「大卒以上」の文字。
この時、初めて学歴の壁にぶつかった。私は「専門卒」。条件にはあてはまらなかった。予想していなかった門前払いに辛くなった。

専門学校での2年間は、かけがえのないもの。恥じたことはない

今までの人生で一度たりとも専門学校出身であることを恥じたことはない。でも、まだ世の中には"学歴"を採用の上で重要な判断材料にしている会社がある。
「大卒以上」という条件がある程度のフィルターになっているのは、わかっているし、しょうがないことだ。それでも、なぜか悲しい。
私の専門学校での2年間は人生の中でも熱く、何にも変えられない2年間だった。英語や観光の勉強、海外インターン、国家試験合格まで。できることや、やりたいことを全てやり尽くした。
学歴という壁を越えない限りは、中身を、私という人間を見てもらうことすら出来ないのかと思うと怒りが湧いてきた。人生や、世の中はこんなものだったのか。私が生きてきた今までの人生はあまりにも恵まれていたのだとその時気づいた。
私のように、思わぬタイミングで人生の選択を狭められてしまう人が、きっとこの先もいるのだと思う。思いもしなかった社会を見ることになったり、知ることになったりする。

学歴という厚い壁に負けない経験と人間性が、私の武器

私は「大卒以上」という言葉を見たときに怒りと同時にもう一つ思ったことがある。
それは、「大卒以上」に劣らない経験と、人間性を私は確かに持っているということ。
つまり、大卒云々だけではなく、どこの大学に行ったか、どこの専門学校に行ったか、その選択だけでその人を決めることはできない。そうあるべきではないのだ。
経験や人間性こそ、その人を語る。そして、輝ける場所や、それを理解する人たちに囲まれてこの社会で生きている。
学歴という厚い壁に負けない、経験と人間性を武器にして、この先の人生も強く歩んでいこう。