かがみよかがみでは、「ふった理由、ふられた理由」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。

今回は、かがみすと賞1本、編集部選として2本のエッセイをご紹介いたします。

◆かがみすと賞

彼は当然のように何度も浮気をする。バレる。でも、わたしたちは別れなかった(小宮山衣央)

いい意味で、タイトルや前半部分を裏切ってくるエピソードに、心掴まれるエッセイです。浮気をされても、大切な彼と別れる選択肢はなかったという小宮山さん。エッセイの前半と後半の変化が印象的で、一気に惹きこまれて読み切りました。特に次の箇所は、言葉の言い回しもすごく素敵だなと思いました。

わたしは少しだけ潔癖になった。疑り深くなった。川や海が好きになった。ビールを飲むようになった。全て彼から貰ったもので、そうやって彼の一部をどこかに抱えたまま、わたしは、私としてこれからも生きていく。

恋の始まりに一歩踏み出せない人や、恋の終わりに苦しんでいる人へ、多くの方に届いてほしい、素敵なエッセイでした。

◆編集部選
「終電逃しませんか?」。彼が好きだから、その言葉に頷くことはできなかった(しおりんご。)

大事な存在だからこそ、一線を超えない選択をしたという、しおりんご。さん。当時の葛藤や心境が丁寧に綴られたエッセイです。特に次の箇所には、共感した方も多いのではないでしょうか。

もしこのまま終電を逃したとして、
彼と朝まで過ごしたとして、
彼の思いを受け入れたとして、
彼に存分に愛され、そして彼を存分に愛し、ある程度の月日が経った頃に永遠を誓い合うことができればいいが、万が一それが出来なかったら?
悩んだ時、誰が話を聞いてくれるのだろうか。
迷った時、誰が背中を押してくれるのだろうか。

エッセイ最後の一文まで、胸が締め付けられそうになるエッセイでした。感情的になりすぎず、彼との距離感を冷静に保とうとするしおりんご。さんの温度感まで、情景とともに伝わってくるような文体。ぜひぜひご一読ください。

愛されることが怖くて、世界一幸せにしてくれた恋人を振った(ツジアスカ)

「誰かの人生に踏み込んでしまうことが本当に恐ろしかった」といい、人と距離を保ってきたというツジアスカさん。出会った彼は、愛情表現豊かな素敵な人だったけれど、ツジさんは別れを告げます。

「俺は、側にいるよ」
誰にでも言える一言、でも誰も守れない約束を、彼は果たそうとしていた。

言い回しにハッとさせられる素敵な描写が多く、最後まで惹きこまれて一気に読み切ってしまうエッセイでした。

以上、「ふった理由、ふられた理由」のかがみすと賞、編集部選の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。現在募集中のテーマはこちらから。みなさまからのご投稿、お待ちしております!

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