「結婚」という言葉は、自分にとって無縁なものだと思っていた。子どもの頃から、誰かと結婚するつもりなんて毛頭なかった。
親戚の結婚式に出席した時は、ウェディングドレス姿の新婦を見て華やかな姿に憧れたけれど、自分は誰とも関わらず、一生一人で生きていくのが似合っていると思い込んでいた。

誰かの助けを必要とする私が、生き方を考えたとき見つけた「結婚」のメリット

そんなお堅い考え方に変化が訪れたのが、大学生になって二十歳を迎えた頃。
祖父母は既に亡くなり、晩婚だった両親もいよいよ還暦に突入すると分かったとき、自分と家族の将来に焦りを覚えた。私は発達障がいを抱えていて、ハンディキャップが多い。故に、誰かの助けを必要とする機会が多いのだ。
このまま両親が年老いたら、私は一人で面倒を見てあげられるのだろうか。
両親が亡くなったら、私は一人で様々な事を背負って生きていけるのだろうか。
ひょっとしたら、孤独死してしまうのでは……。
そんな事を考えているときに、頭によぎった言葉は「結婚」だった。

結婚すれば、一人で抱え込まなくても良いかもしれない。生まれて初めて、結婚のメリットを見つけた気がした。

自分の事で精一杯で、色々と余裕がない。今は考えるべきではないかも

だけど、どうしてもデメリットも考えてしまう。もし結婚するとして、相手は自分を尊重してくれるのか、肯定してくれるのか、一生共に生きていけるのか……。
学生なのだから、今から考えるべきことではないかもしれない。私はいったん、結婚について考えるのは後回しにした。今の私は、自分の事で精一杯で、色々と余裕がない。両親も「心配しなくてもいい」と言っているのだから、素直に今のことを考えて生きていこうと思った。

今はまだ何も考えられないけれど、いつか何かがきっかけで「結婚」にまでたどり着くかもしれない。そうじゃなかったとしても、自分の将来は案外、時間が解決してくれるかもしれない。
でももし結婚するなら、ハンディキャップに理解のある寛容な人が良いな、なんて思ったり。
いつどうなるか分からない日常で、今日も生きていく。