「こんなに性格が悪い人に出会ったのは初めてです。もう連絡をとるのも無理です。」
令和元年5月1日。年号が変わり、世間はお祝いムード。実家ではこの日に妹が結婚。その日、私史上最悪なフラれ方をして失恋。
私はこの彼に1年半以上も片思いをしていた。彼とはずっと「友達」だった。仲が良すぎたのか、そもそもの性格や価値観が合わなかったのか、それとも彼が言うように私の性格が悪かったのか、いやいや!彼に受容力がなかっただけなのか…彼とはよく喧嘩をする事が多かった。最後に彼からの強烈な言葉のパンチをくらった私は、一発でゲームオーバー。
世の中は新元号でお祝いモード。妹は幸せそうに結婚相手を見つめ、両親は自慢げ。自分が惨めに思えた。なんで私だけこんなに不幸なの?!
しかし、昔から負けん気が強い私の気持ちは「悔しい」に変わっていった。もっと素敵な大人の女性になって彼を後悔させてやると心に誓った。
でもどうやって?大人の女性ってなに?
素敵な大人の女性になるために、人が変わったかのように仕事に没頭
そこで行き着いたのは「仕事」だった。失恋をしたのであれば、もっといい人を探すことも考えた。それも失恋を癒す一つの手段だと思う。
しかし、当時の私は「あなたにフラれたから、もっといい人と出会えました!」は納得が出来なかった。私が「素敵な女性になった」証明にはならないのではないか?と思ったから。「あなたがいなくても強く生きています!」と未来の彼と自分に胸を張って言ってやりたかった。私が理想とする女性は、「周りに頼らなくても生きる力と自分を持っている女性」。
GW明けから、人が変わったかのように仕事に没頭した。本気で仕事に向き合った。まず、自分にも上司にも顧客にも言い訳をする事をやめた。
「自分は器用な人間ではないし、実力がないから出来なくても仕方がない。」いや、出来ないのであれば、出来るようにするためにどうするのか?方法を考えて努力しよう。
「上司が言っている取り組みのメリットが分からない。」いや、メリットが分からないのではなく、自分がやりたくないだけなのでは?主語が自分になっていた。主語を顧客に変えてみたらメリットが見えてきた。
「顧客が約束を守らない。」いや、顧客が約束を守りたいと私が思わせればいいんだ。
仕事を頑張るほど、自分を認められるようになってきた
最初の頃は、彼を思い出す時間をなくすために仕事のことばかり考えていた。
しかし、徐々に自然と彼を思い出す事はなくなり、仕事が楽しくなった。毎日仕事のことを考えるとウキウキした。実績も残せるようになり、今では小さな賞ではあるが、社内で表彰されるようになり、その瞬間は胸が踊ってドキドキしている。
上司からの「期待しているよ」や、顧客からの「ありがとうございます」が嬉しくて、自分で自分を褒められるようになった。
彼からは、私のダメな部分をズバっと言われて落ち込む事が多かったけど、今の私は仕事を通じて自分を認め、自分のいい所を褒める事ができている。自分を肯定しているなんて、ナルシストと言われるのだろうか。周りから見たら「仕事ばかりしている寂しい女」に見えるかもしれない。
でも、私はこの「私の頑張り」を抱きしめるために仕事をしている。そんな今の私が好き。
仕事に没頭し、自分を肯定できるようになったのは彼にフラれたおかげ
先日、LINEのタイムラインで彼のアイコンが変わったことが流れた。彼女との2ショット似顔絵になったようだ。
チクンと小さなミツバチが私の心を刺した。まだ彼にフラれた心の傷は癒えていないのだろうか。おそらく、彼に言われた強烈な一言を思い出したから心が痛んだのだと思う。
まだまだ彼を後悔させられる程の「素敵な女性」にはなれていない。
でも、当時よりも自分に自信がついて、仕事ができる理想の女性に近づいている。
今では彼に感謝をしている。仕事に没頭し、自分の事を肯定できるようになったのは、彼のおかげ。
もう会わないと決めているが、このエッセイをどこかで目にして「ふーん。この女、強烈なフラれ方をしてるな」と笑ってほしい。
もしも、いつか街ですれ違ったら、自信たっぷりな表情でカッコよく微笑んでやるんだ!
私は、今日も大好きな仕事を精一杯頑張ろう。