大学生の時、好きな人が仲の良い友達と被ってしまったことがある。
私は恋愛経験もほぼなく、告白なんてしたこともない。ずーっと片想いし続けて、いつの間にか終わる、そんな恋ばかりしてきた。

小学生の頃からずっと、好きになった人は友達と被っていた

私は彼に1年以上、片想いしていた。本当に好きだったと思う。彼も気づいていたと思う。
飲み会では近くに座ってみたり、他の人よりたくさん話をしてみたり、そんなことしかできなかった。
でもある日の飲み会でのこと、いつの間にか彼と友達の間にオーラが見えた。そして、いつの間にかその2人は付き合っていた。
しばらくは随分と落ち込んだけれど、私にとってはこれまで何度も経験してきたこと。なんとなくそんな予測はついていた。

高校の時も、部活の先輩が憧れで、あとから友達と被ってることを知ったんだっけ。好きな人が被らなかったことなんて、ほとんどない。
それだけ私はみんなに魅力的な人を選んでいるのかななんて思ってた。そういえば小学生の頃からずっと、好きになる相手は私の大切な人の好きな人だった。

小中学生の時好きだった人がいる。お互いのノートによく落書きしていた

小学校から中学校を卒業するまで、ずっと好きだった人がいる。同じ部活の、同じ学年の人だった。すらっとしてかっこよく、人とのコミュニケーションも上手な人だった。
一度同じクラスになってから、彼とはよく話していた。隣の席になったことも一度あって、よくお互いのノートに落書きしあっていた。
バレンタインには他の義理チョコに混ぜて、本命のチョコを家に持って行った。
一度親にバカにされてから、好きな人の話は親にはしないと決めていた。だから、私しか知らない、私だけの幸せがそこにはあった。私にとっては、それだけで十分だった。

その頃、昼休みによく遊ぶ親友がいた。小学校の頃から仲の良い、尊敬する人だった。親友は太陽のようで、優しくて、友達もたくさんいて、私は彼女が羨ましかった。
彼女は私をものすごく褒めてくれるけれど、私にとっては彼女の方がものすごく魅力的だった。文章を書く能力と人を惹きつける力は、絶対に勝てないと思っていた。というより、勝とうとも思っていなかった。
親友とは、よく無造作に置いてあるホールの机の下で話をした。毎日話しているはずなのに、話は尽きなかった。

親友が私と同じ人が「好き」と伝えてきた。私は、何も言えなかった

ある日、親友は私に「彼が好き」と伝えた。私は、言えなかった。かろうじて「へえ~」と中身のない言葉を発した。
好きな人なんて、誰にも言ったことがなかった。言ったら誰かにバラされると思うような、人を信じない子だったから。人に自分の秘密がバレてしまうのも極端に怖がっていたから。
でもそれは、親友を「応援する」という意味になった。私は親友を裏切っちゃいけない、だから彼にも何も伝えなかった。

また、彼と隣同士の席になった。私は密かに心躍っていた。隣同士になったというだけで、周りの友達は私たちを茶化した。それでも私は「否定」し続けた。彼とはまた、ノートに落書きをしあった。
ある日彼は授業中、私のノートにハートマークを書いてきた。その時私は中学2年生、意中の人にハートマークをもらうなんて経験は初めてで動揺してしまった。
嬉しかった。彼がどういう気持ちでハートマークを書いたかは分からないけれど、それでも嬉しかった。
でも、彼は親友の好きな人。私は邪魔をしちゃいけない。大切な親友を失いたくない。私は、なんでもないフリをしながら、彼のノートにハートマークを書いた。