かがみよかがみでは、「父に実は伝えたいこと」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。

今回は、かがみすと賞1本、編集部選として2本のエッセイをご紹介いたします。

◆かがみすと賞

うつ病だった私と、陽気な父。数年後、父がこころの病を患った(海になる私)

あらすじ: 「挫折はしておいたほうがいいんだよ、強くなれるから」 。大学を退学する決心をした私に、正反対の性格の父がかけてくれた言葉。私の状態が良くなるのと入れ替わるように、父の様子が変わってしまった。あの日のように、一緒に歩きながら私が伝えたかったのは……。

◆担当編集者からのコメント

もともとはお父さんが発した言葉でも、うつ病を乗り越えた「私」が改めて伝えることで説得力が増しますし、何より似たご経験をされて心の病を患う気持ちが分かったお父様にとって、これほど響く言葉はなかったのではないかと思います。また、丁寧な描写と工夫された構成で、最後まで一気に読み込んでしまいました。

読者の中にもさまざまな悩みを抱えていたり、挫折してしまい落ち込んでいる方がいるはずです。そんな読者の心も後押ししてくれる、力強い言葉でありエッセイだと感じました。改めて、この度はすてきな投稿をありがとうございました!

◆編集部選

天国の父へ。私だって友達と「パパ臭いんだよね」って言いたかった(羊肉はマトン)

あらすじ:病気で39歳という若さでこの世を去った父。9歳までだけど、いつも私に甘かった父との日常の記憶。家族も私も、父の死をきっかけに、いろんなことが変わった。

◆担当編集者からのコメント

お母さまが入院されていた時、お父さまがご飯を作ってくれたり、髪の毛を結ってくれたり……不器用ながらも頑張ってくれたという描写は、感情移入してちょっと涙が出てきそうになりました。また、感情の乗った文章でありながら、読者を置いてけぼりにしない丁寧な文体が素敵だなと感じました。想いの詰まったエッセイを、ご投稿ありがとうございました!

最後の会話は「起きて待ってる」「車ひくなよ」急死した父に伝えられなかったこと(鰆

あらすじ:愛嬌たっぷりで、ピアノが上手で、いつも笑顔の真ん中にいて、お日様みたいだった父。高校2年生の朝、作ってくれたみそおにぎりを半分食べて、冗談を言い合ったのが最後だった。パパに言いたいことが、たくさん、たくさんある。

◆担当編集者からのコメント

悲しくも、当たり前は当たり前じゃないということを強く印象付けるエッセイのご寄稿ありがとうございます。辛い体験を経た鰆さんの後悔や、これまで超えられてきた無念、そして現実を認める強さが伝わってまいりました。同じ境遇にある方、そうでなくても今をきちんと生きて、周りに感謝して過ごせなければと改めて背筋を正す契機となりました。また、鰆さんの温かさが文体ににじみ出ているのも印象的でした。素敵なエッセイを、ありがとうございました!

以上、「父に実は伝えたいこと」のかがみすと賞、編集部選の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。現在募集中のテーマはこちらから。みなさまからのご投稿、お待ちしております!

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