かがみよかがみでは、「あのルールを破れたら」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。

今回は、かがみすと賞1本、編集部選として2本のエッセイをご紹介いたします。

◆かがみすと賞

「おっぱい」になってしまった私の胸だけど、上裸になって爽やかな風を感じたい(なりま)

あらすじ:体育の授業で汗まみれの私。授業が終わって水飲み場を見ると、坊主頭の野球部のE君が、上半身裸になって水を浴びていた。ああ、うらやましい。E君の胸と違って、不自由な私の「おっぱい」。

◆担当編集者からのコメント

女性の胸が「単なる身体の一部」にならないことへの葛藤がとても伝わってきて、深く共感しながら読ませていただきました。気づけば周りからの目で女性の胸は「おっぱい」になってしまうことを感じることは、多くの女性が共感するのではないでしょうか。読者を惹きこむコミカルな文体ながら、社会からの視線を鋭く切り取った着眼点にハッとさせられました。ぜひ多くの方に届いてほしいエッセイです。

◆編集部選

校則のおかげで、私の側にいたのは音楽だけじゃなかったと気づけた(杏仁)

あらすじ:高校に全くなじめなかった私を助けてくれるのは音楽だけなのに、登校するときに聞くことは校則で禁止されていた。でもその憎い校則のおかげで、ある日私に変化が起きた。

◆担当編集者からのコメント

「あのルールを破れたら」というテーマでありながら、「そのルールがあったから、ポジティブな結果になった」という構成がとても印象的で、惹きこまれました。

音楽を止めて登校することへの杏仁さんの苦しさが、自分の内側に潜り込んでいるような丁寧な情景描写から伝わってきます。最後の一文まで心が動き続け、あたたかい読後感に包まれる素敵なエッセイでした。

帝王切開する日の朝、胎動が感じられなくなった私は(いくら)

あらすじ:早朝に感じた不安。でもすぐに病院に連絡はできなかった。だって産婦人科で質問したり、違和感を伝えたりするのは、とてもとてもハードルが高いのだ。

◆担当編集者からのコメント

冒頭から展開されるエピソードに緊迫性があり、一気にエッセイの中に引き込まれていくような感覚でした。「違和感」の正体について、具体的にディテールまで描き込まれているため、出産を経験した人や、婦人科系の悩みで受診した経験のある人にとっては特に、共感されると思います。

ご自身の経験だけでなく、ネットの声なども拾うことで、世間一般にどれだけ「違和感」がはびこっているのか、説得力をもって伝わってきました。また、「どの産婦人科でも『違和感』を口に出しやすい環境が整っていなければならない」というメッセージは明快かつ骨太で、訴求力があります。出産後の入院最終日という大切なタイミングでご投稿いただいたとのこと。想いの詰まったエッセイをありがとうございました!

以上、「あのルールを破れたら」のかがみすと賞、編集部選の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。現在募集中のテーマはこちらから。みなさまからのご投稿、お待ちしております!

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