かがみよかがみでは、「あの夏の挑戦」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。

今回は、かがみすと賞1本、編集部選として2本のエッセイをご紹介いたします。

◆かがみすと賞

思い浮かんだ「退部」の二文字は、やけくそでペダルを漕いで吹き飛ばした(yun)

あらすじ:「陰キャ」の私。高校生になって飛び込んだのは憧れだった高校野球の世界。マネージャーになったが、部員たちに疎まれているのは分かっていた。それでも辞めたくはなかった。

◆担当編集者からのコメント

エッセイ中盤からのどんでん返し感、腹をくくったような勢いに、胸が震えました。「自分に合わない場所からは離れてもいい」という考えが広まってきた昨今の風潮はとても大切な変化だと感じる一方で、自分の信念を曲げずに突き進む姿勢もやはりかっこいいのだと、改めて感じられるエッセイでした。悩みを吹き飛ばす颯爽さが、夏の熱気と共に伝わってくるリアルな情景描写と、目を離せない構成も印象的です。何かに打ち込んでいる人はもちろん、毎日にどこか物足りなさを感じている人にも、きっと刺さるエッセイだと思います。ぜひ、ご一読ください。

◆編集部選

たかが血圧されど血圧。看護学生の私は血圧測定の練習に夏を捧げた(ヤマトヌマエビ)

あらすじ:A子の腕をつかみ、上腕動脈を探る。血圧測定の練習だ。看護学生だったあの頃。私たちはひたすら血圧測定の練習で日々を費やした。5回目の実技テストでやっと合格。解放されたとき、秋が来ていた。

◆担当編集者からのコメント

コミカルさが、読んでいて楽しいエッセイです。大変なこともありながら、きっと学生生活に愛をもって過ごしていたのではないかと、感じました。

努力したエピソードだけでなく、農学部のご友人の話や血圧計がデジタル式だったなど、クスリと笑わせてくれる表現豊かなエピソードが印象的です。最後の一文まで読者の存在をしっかりと意識した構成で、一気に読み進めてしまう素敵なエッセイでした。

体育の成績は2か3だった運動音痴の私は、大人になった今はいない(よもぎたかこ)

あらすじ:「運動音痴」「ノロマ」「見苦しい」運動に対して強いコンプレックスがあった私がプールに通ったのは「暑いから」。往復を繰り返すようになって痩せて気がついた。「ただ動けばいいのか」

◆担当編集者からのコメント

運動に苦手意識のある方に特に届けたいエッセイです。日中座りっぱなしのことが多い生活の中で、思わず私も身体を動かしたくなりました。学校の体育の授業は楽しめなくても、大人になった今だからこそ、自分のペースで運動できる環境を選べるはず。最初から最後まで読み手を飽きさせない構成と丁寧かつ明るい文体で、前向きな読後感が素敵なエッセイです。

以上、「あの夏の挑戦」のかがみすと賞、編集部選の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。現在募集中のテーマはこちらから。みなさまからのご投稿、お待ちしております!

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