「彼はキャベツ畑で拾われたんじゃないかと思ってるんですよね」
「弟くんは優秀ですごいね」と言われた時、私はそう返すようにしている。
私が外でそんなことを言っていることを、勿論弟は知らないだろう。
2つ下の弟は、家族の中で飛び抜けて地頭が良くて、私より圧倒的に少ない勉強時間で、私が入れなかった大学に合格した。
決して、頭が良いことを飾ったりしないし、今でも私が夫と実家に帰る日は予定を空けておいて、「一緒にやろうよ」と部屋から麻雀牌を持ってくる。
そんな弟を姉として可愛いと思うし、兄弟仲は良い方だと思う。
大学院まで卒業して、今年やっと社会人になった弟の初任給に、社会人5年目の私のお給料は到底及ばない。
最終的に金額になってこんなにも差が出ると、同じ家で、同じ親に、同じように育てられたはずなのにと思うけれど、父が昔から弟に強く当たってきたのは、私に向けた以上の期待を抱いているからだと、私は気付いている。
本当は何にも君に勝てなくて、姉として、ちょっと悔しいです。
でもそれ以上に、君をとっても尊敬しています。
キャベツ畑の例えは、最高の褒め言葉のつもり。
面と向かっては言えなくてごめんね。