「宇宙人の私を育ててくれてありがとう」
これがわたしが家族に伝えたい一言である。
私には胎内記憶がある。ただし「居心地が悪かった」という記憶である。
両親は優等生で文系で地方公務員をし、職場恋愛で結婚している。
法学部出身の父親は新卒から今年まで、定年で勤め上げ母親は再来年で定年だ。
「地元で暮らして近い人と結婚が一番」だと言われ育ったが、毎日のように喧嘩した。ウマがあわなかった。
いじめられっ子の私は理系の情報学科に進学した。2回転職した。
同じ専門分野、学校の異性は基本ライバルであり敵だったため、まったくときめくこともなかった。
異国出身の今のパートナーと出会ったのは、母親が私を産んだ歳だった。
時代や考え方、当人の性格もあるかもしれない。
私も辛かった。なんでこの人たちが親なんだと思った。
地元は私にとってはよその星だ。人間の実体の遺伝子情報だけもらったんじゃないかとすら思う。
昔はただ、自分が辛くて仕方がなかった。
でも思う。絶対そっちも私と同じくらい大変だったし辛かったよね。こんなに話通じないんだもの。
あなたたちの考えていることは今も未だにわからないけど。
そんな私を田舎の風習や自分たちの考えに縛り付けずに、自由に世界に逃がしてくれてありがとう。
あなたたちの宇宙人の子供は、そう思って今日も電波を送ります。