「信じてくれてありがとう」
本当は2年前に伝えたかった言葉であるが、今伝えることを許してほしい。その当時の私には、どうしても伝えられなかった。

上京して早2年。物心ついた頃からのんびりとした田舎で家族と共に育ってきた私にとって、都会での一人暮らしは今も尚、大きな挑戦の真っ只中である。
思い返せば当時高校3年生であった私の受験は周りより少し早く始まった。メディアが謳うセンター入試最後の年という言葉に焦りを感じていながらのAO入試。

「合格」。この二文字が近くて遠く、不合格を知らせる度、母から貰う「神様があなたの居場所はここじゃないって言ってくれているんだよ。もう少し一緒に頑張ろう」の言葉に何度救われたのだろう。
志望校が変更する度、父から貰う「次はどこに連れて行ってくれるの?」の言葉には罪悪感でいっぱいであった。
3つ下の弟も同じ受験生という立場であったが、落ち込む私を少しでも元気づけようと保育園ぶりのキャラクター弁当を作り、ジョークを与えてくれた。しかし、その当時の私はというと、全てが自分中心でありがとうの五文字すら口にすることはなかった。できなかった。

そんな私は今、都内の大学に籍を置き、一つの夢であったハワイへの長期留学を目前にしている。
あのとき、信じてくれてありがとう。家族の存在が私にとって頑張りの素であり、宝物です。