私の母親は、嫁姑の関係や介護で苦労が多いからか、人生を語るのが大好きだ。ラジオからはよく人生相談が流れてくるし、ドキュメント番組をよく見る。友人と電話していると大体、「人は変えられないから~」といった深い話っぽい言葉が出てきて人生観を語りだす。
私は、そんな母親がいる家で暮らしていると、時折息苦しくなる。有り体に言って重いし、人生相談ばかり聞いているとこっちも暗く、淀んだ気分になる。悩みなんて相談できたもんじゃない。大抵、最後には「こう考えなさい」といった類のアドバイスを聞く羽目になるからだ。
違う、そうじゃない。私は、ただ聞いてほしかっただけなのだ。
ただ、聞いて、「大変だね」と共感して欲しかっただけなのだ。
自由に思いを話せる居場所が欲しかったのだ。
娘のためを想ってアドバイスしているつもりなのかもしれないが、それは自分が言いたくて言っている、という事に気づいて欲しい。
人の話を聞く事は難しい。親子なら私情が入るから尚更だ。だからこそ、共感して最後まで聞く事をこれから意識していきたい。身の回りの人を尊重して、少しでも話してよかったと思ってもらえる人でありたい。
当たり前で大切な事に、改めて直面している。