「お母さんのこと嫌いなんでしょう。お母さんにあんた、何にも喋らないじゃん」
母は私にこう言った。
「お母さん、私はあなたが一番大事だから、嫌われたくないから何も言えないんだよ」
叫び返したいが、喉が詰まって声を出すことができない。
小さい頃から母に対して、私は不安を抱えてきた。自分が今立っているこの地面は母が保っているものであり、決して永遠のものではないと薄々知っていたからかもしれない。
楽しく動物園なんかに行って遊んだ日も、手伸ばしで最後まで喜び続けるということが幼少期の自分はできなかった。1日の終わりには「そんなにお金を使って大丈夫かしら、もうお願いだからこれ以上お金を使わないでくれ」と心の中で叫び不安に駆られていた。
母は私たち子供に多くの憧れを与えてくれた。
絵本、おかし作り、手芸、思えば私たち子供はみんなそれらの憧れを仕事にしている。それを叶えさせてくれたのは母だ。

今、私はあなたが作ってくれた地面を省みています。自分自身で好きなものを見つけて、自分なりの土壌を固めていっています。あなたが敷いてくれた土壌から手を伸ばして作業しているもんだから、相変わらずなのですけど。
今まで地面及び土壌を保ち続けてくれてありがとう。保ち続ける苦労は相当なものでしょう。だって今私は自分なりの土壌を作ってる最中だけど、ゲロ吐きそうなくらい時に嫌になるし投げ出したくなるんだもの。
でもしょうがないよね。これが真っ当な人間の努力なんだものね。