旅には人の性格が出る。一人旅に出たり、一緒に旅をする人が違えばそれぞれに全く違う旅になる。
韓国を7回旅して分かった、自分が旅で発見するもの。
何もかも新しい出会いや体験が、自分自身の血肉となっていく感覚に、誰もがワクワクしてしまう。

韓国への旅を重ね、気づいた魅力を拡散させることが私の使命

大学1年生の秋、初めての渡韓。研修目的で訪れた韓国はほぼグループ行動で、観光バスに乗ったり現地の学生と一緒にたくさんのことを教えてもらいながら、冬に近づくソウル市内を巡った。
ひんやりとした空気、独特に透き通った色で輝く、夜の街中を彩るネオン。初めての韓国に戸惑う私を暖かく迎えてくれた現地の学生たち、先生、サムギョプサル店のご夫婦。
研修期間を終えたバスの車内で、韓国人の友だちに教えてもらったアイドルのバラード曲をイヤホンで聞きながら、旅の思い出を蘇らせたことを今でも鮮明に思い出す。

そして2度、3度と、繰り返し多くの旅を重ねていくうちに、韓国に来ることが初めての家族も連れて行けるほどに語学も成長。
必ずしていたのは、自分が一回巡った場所をまた別の人と訪れること。
元々、自分にしか出来ないものや自分が輝けることに重きを置いてきた。自らで経験して気づいた魅力を拡散させていくことを使命のように感じ、韓国の文化の素晴らしさを現地を案内することで伝えていった。毎回、自分の経験からインプット、アウトプットを繰り返すことで周囲の人々に少しでも魅力が伝わればと考えている。
しかし、今を見つめるだけでは壊せない壁もあり、逆にその壁にぶつかることで自分が何故こんなにも発信に夢中になるのかを知った。

プレッシャーは原動力となり、感じた魅力を発信する力を与えてくれる

わたしの世代である20代は、親世代との価値観のずれが生じることがしばしばある。国同士の歴史の問題で一悶着する家庭も多いかと思う。自分自身の考えでは到底理解できないような偏見を押し付けられることもあり、困惑したり反発するような経験もしてきた。
どんな固定観念をぶつけられようと、やはり、旅での経験は私を裏切らなかった。
その時わたしは、異なる世代のプレッシャーから、新しい世代のステージに上がろうとする自分の立ち位置を理解した。

プレッシャーも原動力に、これまでの7回の旅は、あるステージで自分が感じた魅力を発信する力を与えてくれた。
今までスピーチコンテストとは無縁なほど緊張しがちな性格だったが、韓国語で一から自分の言葉を紡ぎ、国籍を問わず接してくれた人に感謝を伝えることや、これからの友好関係について自信を持って表現できた場となった。
そして賞を受賞することとなり、またこれをきっかけに日本人でありながら国同士の繋がりができ、自分が伝えようとしてきた様々な努力が少しだけ実ったような気がした。

インターネットの情報よりも、個々で勝ち取った経験で柔軟な世界を

自分が子の立場で経験したように、親はどうしても自分の価値観の型に子どもを閉じ込めてしまう印象がある。だが、もう親の監視下に置かれるばかりが安全とは限らない時代になっていると考える。
なぜなら、過去のしがらみを何十年と引きずり続けるほど凝り固まっている場合ではないからだ。SNSやインターネットの情報よりも、個々で実際に勝ち取った経験で柔軟な世界をつくり出していく。
これからも、見るもの聞くものを吸収し、時に失敗することもありながら自らの行動で自らの意思を築いていきたい。